取手とうきゅう、8月31日閉店

取手とうきゅう、31日閉店  ~常陽新聞 100828~

テナント一斉撤退でビル閉鎖-JR取手駅前
取手市新町、 JR取手駅西口前の大型商業施設 「取手とうきゅう」 が31日閉店となる。 核店舗の撤退に伴い、 同ビルに入居している全テナントが一斉に撤退し、 次の入居者が決まるまで同ビルは閉鎖される。 つくばエクスプレス (TX) が2005年に開通し、 JR取手駅の利用者が大きく落ち込んだことが引き金の一つになった。 東急ストアなどビル権利者らは 「現時点で次の入居者はまだ決まっておらず、 引き続き探していく」 としているが、 市民の間から 「取手駅前はどうなってしまうのか」 と心配する声が出ている。
 
◆あらゆるところ打診
「東急が撤退を決めてからこの1年間、コンサルタント会社を通して、商業施設ばかりでなく、 ありとあらゆるところに打診したが、 いい回答は得られなかった」 と地元のビル権利者の1人はいう。
 
土地、 建物を含めたビルの所有者は、 約4割の持ち分がある東急ストアと、 地元権利者9人 (企業と個人) の計10人 (社)。 この1年間、 権利者らは1週間に1回は顔を合わせて、 撤退後について協議を重ねてきたという。
 
あるコンサルタント会社の調査結果は、 A、 B、 Cの3段階評価だった。 Aは 「取手駅前に進出してもいい」、 Bは 「条件次第で」、 Cは 「考えてない」。 「Aの回答はなく、 BとCばかりだった。 TX沿線なら進出してもいいというコメントもあった。 商業地としての取手駅前の魅力が低下していることを痛感した」 と権利者の1人は振り返る。
 
ビル閉鎖後も権利者には、 固定資産税、 エレベーターや空調施設の維持管理費、 警備費用などが掛かる。 「このまま決まらないなら、 ビル解体もやむを得ないという意見まで出たことも事実」 と打ち明ける。
 
◆公共施設は空振り
同ビルは市が駅前再開発事業で建てたことから、 市に助けを求めたこともあった。 子育て支援センターや高齢者福祉センター、 図書館の入居などを市に要望した。 市の施設に入居してもらうことで、 関連の子供服や薬局、 診療所などが入居するための呼び水にしようと考えた。
 
これに対し市は 「市役所や図書館などの移転には市民との合意形成に時間がかかり、 閉店と同時に移転は難しい」 とし、 「むしろ民間事業者が入居しやすいような側面支援を含めて検討したい」 とするにとどまっている。
 
◆将来は未定
一方、 同店では現在パート・アルバイトも含め約190人の従業員が働いている。 閉店後、 社員は他店に異動するが、 パート・アルバイトは全員解雇になるという。
 
将来、 ビルの持ち分をどうするかについても東急ストアは 「将来については未定」 としている。
 
とうきゅうビルは9階建て (店舗部分は8階)、 建築面積約3400平方㍍、 延べ床面積約2万8000平方㍍。 市の駅前再開発事業で、 東急ストアが保留床を市から購入し、 25年前の1985年にオープンした。しかし91年ごろから売り上げが減少傾向となり、 91年、 97年、 2004年の3回にわたって大改装を実施したが、 売り上げ拡大につながらなかった。 ①近隣市での相次ぐ競合店の出店②TX開業による取手駅の利用客減少③市人口の伸び悩み―などから将来的に改善の道筋が見出せないとして撤退が決まった。 東急ストアが他の9人の地権者から一括借りして他のテナントを入居させてきたことから今回、 一斉撤退となる。
 
同駅前では、 取手とうきゅうが開店した翌86年に、 西口前の西友が撤退、 01年には東口のイトーヨーカ堂が撤退し、 大型商業施設の撤退は3店目。 駅前の大型商業施設は現在、 駅ビルのボックスヒルのみとなる。

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