イモリ1000匹を放流

取手  筑波大、NPOが谷津田環境を復元  ~常陽新聞101122~

耕作放棄地となっていた取手市貝塚の谷津田を耕し、イモリがすめる環境を復元しようと挑戦している筑波大とNPO、地元住民ら約110人が21日、復元した内堀式の田んぼ約3㌶に、日本固有のアカハライモリ約1000匹を初めて放流した。生物学や医学の研究材料となるイモリを、国内外の大学や研究機関に供給する養殖場「いもりの里」づくりに向けた取り組みの一環だ。    

放流されたイモリは水路の泥の中などにもぐって冬眠に入るという。春にそれぞれ100~200個以上の卵を産むと期待されている。

同大大学院生命環境科学研究科の千葉親文准教授、NPO「次世代教育センター」(取手市、宮本日出雄代表)、地元地権者、取手市などが「『いもりの里』協議会」(蛯原孝夫代表)を設立し、今年春から、田んぼの復元作業に汗を流してきた。5月に田植えをし、9月に実ったコメを収穫した。

21日は、水が張られひこばえが伸び田んぼに、幼稚園児から60歳までの参加者がそれぞれ、イモリを手に持ち、水路や田んぼに放した。体をなでて歓声を上げたり、「気持ち悪い」と言いながら放す子どもたちの姿もあった。今後は、水の管理や草取り、動植物調査などを続け、イモリが定着するかを見守るという。
 千葉准教授によると、イモリの卵がかえる春先の水温を27度以下に保つことが重要になるという。同地区は周辺が住宅地などに開発され、地下水位が低下していることから、井戸水を引き入れて田んぼの水を循環させるなどして水温管理をする方針だ。

千葉准教授は「絶滅してしまった地域に、絶滅した生き物を再生するのは不可能に近い挑戦だが、何としても成功させたい」と語り、「成功すれば関東全域に復元するヒントが得られる」と話している。

同協議会の蛯原会長は「イモリを全世界に発信し、皆が喜べるふるさとをつくっていきたい」としている。

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