取手市が「公共施設白書」を作成 ~常陽新聞20110615~
維持管理など将来負担は投入予算の7倍
取手市は14日、学校や公民館、福祉・スポーツ施設など公共施設110カ所の維持管理コストや利用実態、将来負担予測などを分析、検討した「市公共施設マネジメント白書」を作成、公表した。公共施設を現状のまま維持する場合、維持管理費と建て替え費用を含めた2030年度まで今後20年間の将来負担コストは年間平均37億8000万円掛かると予測される。一方、09年度に実際に維持管理や整備に充てることができた予算額は必要経費の7分の1以下の年間約5億円で、本来必要な補修などを先延ばししながら維持している実態が数字上も浮き彫りになった。
白書は「今後は、社会環境の変化に応じた公共施設の更新の選択と集中を実行し、改修・整備・再配置に向けた実行計画の優先順位付けを行う必要がある」などとしている。市によると、白書を作成したのは県内市町村で初めて。
白書は、市の人口将来予測や財政状況などを分析した上で、公共施設の老朽化の度合い、耐震診断や耐震補強の実施の有無などの現状を示し、今後、改修や建て替えに掛かるコストなどを試算している。さらに施設ごとに維持管理費や利用実態を明らかにし、施設の種類別や地域別に、利用者1人当たりの維持管理コストなどを比較している。
老朽化と耐震化については、一般に建物の寿命とされる築30年以上の建物が49%(床面積)に及ぶとし、耐震基準が強化された1981年以前に建てられた施設が56%(同)を占め、そのうち耐震補強をすでに実施した施設は22%しかないとしている。今後20年間で年間平均37億8000万円かかるとされた将来負担コストについては、築30年で大規模改修、築50年で建て替えた場合を想定して試算した。
施設ごとの維持管理コストの比較では、公民館、小中学校、保育所、幼稚園、図書館・図書室、スポーツ施設、福祉施設などをそれぞれ比較。例えばスポーツ施設の場合、利用者1人当たりに掛かるコストは、勤労青少年体育センター=357円▽藤代武道場=617円▽取手グリーンスポーツセンター=721円▽藤代スポーツセンター=1557円―などとし、「使用料の検討も含め、将来的な施設の統合も視野に入れた検討が必要」としている。
白書はA5判、193㌻。計150部作成し、14日から同市役所の情報コーナーや市立図書館などで公開し閲覧できるほか、7月中に市ホームページに掲載する。
同市は今年度中に市民に説明するなどして、来年度以降、公共施設をどうするか検討に入りたいとしている。
市は保育所と小中学校については、09年度に適正配置計画を作成し、既に統廃合に着手している。
Tags: 取手