取手市 初の事業所実態調査

地域経済の厳しさ浮き彫り  取手市が初の事業所調査  ~常陽新聞20110914~

地域産業の活性化を図ろうと、取手市は市内2003事業所を対象に初の実態調査を実施した。売り上げが前年同期に比べ「伸びた」と回答した事業所は12%しかなかったのに対し、「低下した」と回答した事業所は58%と、地域経済の厳しい状況が浮き彫りになった。市は、今回の調査結果を産業活性化施策の立案に生かしたいとしている。

今後の当面の売上げ見通しについても「好転する」と回答した事業所はわずか6%だったのに対し、「減少する」と予測する事業者は46%に及んだ。5年後、10年後の見通しについても「好転する」と回答した事業所は15%、「減少する」との回答は47%だった。

首都圏のベッドタウンとして急成長した同市は現在、少子高齢化などに直面。さらに05年のつくばエクスプレス(TX)開業後は、JR取手駅の利用者が減少し、駅前商業施設「取手とうきゅう」が昨年8月に閉店するなど、地域経済の振興をどう図るかが大きな課題となっている。今回の調査で、地域の事業者が厳しい経営環境にさらされている実情が改めて浮かび上がった。特に後継者問題については「自分の代で閉める」と回答した事業所が25%あった。

現在抱えている課題として最も多かったのは、新たな顧客の開拓▽受注額や単価の減少▽経営者の健康と事業継続▽競争激化・事業環境の変化―など。

行政に期待する政策は、商店街の活性化や中心市街地の整備促進など商業・サービスの振興▽売り上げ減少時の円滑な資金調達制度や設備資金の低利融資制度など資金繰り対策▽雇用維持のための補助金や高度技能者の育成、従業員研修制度の充実、人材確保への支援など人材・雇用対策―などへの要望が多かった。

昨年6月、市産業活動支援条例を策定し、奨励金交付事業などを始めたのに続く調査。昨年9月から今年2月まで各事業所を訪問し、事業者の規模、取引先や販売先、自社の強み、将来の展望、新たな場所への進出意欲、行政への要望などについて調査した。

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