Dr.中川のがんの時代を暮らす 

Dr.中川のがんの時代を暮らす:/39 喫煙率低減に数値目標
毎日新聞 2012年05月28日 東京朝刊
5月31日は「世界禁煙デー」です。世界保健機関(WHO)が世界中の国々に呼びかけているイベントで、今年で25回目となります。今年のWHOの標語はちょっと過激な「たばこ産業の干渉を阻止しよう」です。国内では5月31日から6月6日を「禁煙週間」と定め、「命を守る政策を!」をテーマに啓発活動を実施します。
07年に施行された「がん対策基本法」の具体的な行動計画である「がん対策推進基本計画」は、5年ごとに見直します。僕も委員として参加する「がん対策推進協議会」が今年3月、基本計画の見直し案をまとめ、たばこ対策で初の「数値目標」が示されました。
現在の基本計画は、「未成年者の喫煙をなくす」とあるだけで、目標に具体性がありません。次期計画は、「10年後の喫煙率を12%に減らす」と、明確な数値目標を盛り込んでいます。
なにしろ、がんの原因のトップは喫煙で、ほとんどすべてのがんを増やします。男性の場合、たばこがなくなれば、がん死亡がおよそ3分の1減ります。がんで死亡するリスクは、100ミリシーベルトを超える全身放射線被ばくで増えますが、習慣的な喫煙は年2000ミリシーベルトを超える被ばくに相当します。受動喫煙でも、100ミリシーベルト近い影響を与えます。たばこを吸う人にとっては、低線量被ばくよりも喫煙の方が深刻なリスクです。

Dr.中川のがんの時代を暮らす ~毎日新聞20120528~

39 喫煙率低減に数値目標

5月31日は「世界禁煙デー」です。世界保健機関(WHO)が世界中の国々に呼びかけているイベントで、今年で25回目となります。今年のWHOの標語はちょっと過激な「たばこ産業の干渉を阻止しよう」です。国内では5月31日から6月6日を「禁煙週間」と定め、「命を守る政策を!」をテーマに啓発活動を実施します。

07年に施行された「がん対策基本法」の具体的な行動計画である「がん対策推進基本計画」は、5年ごとに見直します。僕も委員として参加する「がん対策推進協議会」が今年3月、基本計画の見直し案をまとめ、たばこ対策で初の「数値目標」が示されました。

現在の基本計画は、「未成年者の喫煙をなくす」とあるだけで、目標に具体性がありません。次期計画は、「10年後の喫煙率を12%に減らす」と、明確な数値目標を盛り込んでいます。

なにしろ、がんの原因のトップは喫煙で、ほとんどすべてのがんを増やします。男性の場合、たばこがなくなれば、がん死亡がおよそ3分の1減ります。がんで死亡するリスクは、100ミリシーベルトを超える全身放射線被ばくで増えますが、習慣的な喫煙は年2000ミリシーベルトを超える被ばくに相当します。受動喫煙でも、100ミリシーベルト近い影響を与えます。たばこを吸う人にとっては、低線量被ばくよりも喫煙の方が深刻なリスクです。

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