happyな心になれた毎日新聞読者投稿覧

女の気持ち:ブルーベリー 東京都渋谷区・小室澄江(主婦・63歳)
毎日新聞 2012年08月19日 東京朝刊
信州のセカンドハウスで畑仕事に励む友人から、大量のブルーベリーが届いた。
友人と言っても、ペンフレンドで、面識はない。知り合ったきっかけは昨年11月、本欄に掲載された私の「田舎暮らしの夢」だった。
「晩年は田舎暮らしをして野菜を作りながら、スローライフを楽しみたいと思っていたが、実現する直前にあきらめてしまった」
そんな内容に対し、「あきらめないで」と題した「女の気持ち」を寄せてくださった方だった。
毎日新聞社の仲介によって連絡が取れて以来、文通を続けてきたのだが、先日の暑中見舞いのはがきには「今、ブルーベリーが熟しています。ぜひ遊びにいらしてください」と書かれてあった。
田舎暮らしをあきらめたくらい、もともと体力がない私には、この暑さの中を信州まで出掛ける自信がなく、お断りの返信を出したのだった。
そんな中、届いた、丹精込めて育てられたブルーベリーに感激し、初めて電話で言葉を交わすことができた。
89歳の今もお元気で畑仕事に精を出されていることに驚きと感動を覚えた。
長年、教師をされていたことも知った。
野菜作りに注ぐ愛情は、根気強く成長を見守る子どもに対する教育に通じるものがある。口にしたブルーベリーの甘酸っぱさは、計り知れない深い愛情の味がした。

女の気持ち:ブルーベリー ~毎日新聞 20120919~

信州のセカンドハウスで畑仕事に励む友人から、大量のブルーベリーが届いた。

友人と言っても、ペンフレンドで、面識はない。知り合ったきっかけは昨年11月、本欄に掲載された私の「田舎暮らしの夢」だった。

「晩年は田舎暮らしをして野菜を作りながら、スローライフを楽しみたいと思っていたが、実現する直前にあきらめてしまった」

そんな内容に対し、「あきらめないで」と題した「女の気持ち」を寄せてくださった方だった。

毎日新聞社の仲介によって連絡が取れて以来、文通を続けてきたのだが、先日の暑中見舞いのはがきには「今、ブルーベリーが熟しています。ぜひ遊びにいらしてください」と書かれてあった。

田舎暮らしをあきらめたくらい、もともと体力がない私には、この暑さの中を信州まで出掛ける自信がなく、お断りの返信を出したのだった。

そんな中、届いた、丹精込めて育てられたブルーベリーに感激し、初めて電話で言葉を交わすことができた。

89歳の今もお元気で畑仕事に精を出されていることに驚きと感動を覚えた。

長年、教師をされていたことも知った。

野菜作りに注ぐ愛情は、根気強く成長を見守る子どもに対する教育に通じるものがある。口にしたブルーベリーの甘酸っぱさは、計り知れない深い愛情の味がした。

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