「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷちゃぷ かきわけて…」。この歌が世に出てもう半世紀近くたつ。NHKの人気番組「ひょっこりひょうたん島」の主題歌である
▼岩手県大槌町にはそのモデルとされる島があり、町民らはこの歌に親しんできた。東日本大震災がその歌をかき消す。津波で町は破壊され多くの命が失われた。ひょうたんの形をした蓬莱(ほうらい)島も灯台が倒壊し島の一部が崩れた
▼大震災から間もなく1年半。町の風景は時間が止まったままだ。家の土台だけが残る消えた町並み、町長らが命を落とした役場は破壊されたまま今もその姿をさらす。土地の所有権、職員不足、何をとっても再興への道のりは険しい
▼住民はそれでも町で生きている。何ができるのか、大学生や地方紙の元記者らが、地元に寄り添いながらネットや新聞で町の発信を始めた
▼電気も風呂場もない津波の被害を受けた学校の一室が仕事場だ。志がなければもたない世界でもある。弱い立場の人の姿や思いを伝える。報道の一つの姿でもある
▼「だけどぼくらはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう 進め…」。現地にいると主題歌が応援歌のように響いてくる。
茨城新聞20120909 いばらき春秋より
「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷちゃぷ かきわけて…」。この歌が世に出てもう半世紀近くたつ。NHKの人気番組「ひょっこりひょうたん島」の主題歌である
▼岩手県大槌町にはそのモデルとされる島があり、町民らはこの歌に親しんできた。東日本大震災がその歌をかき消す。津波で町は破壊され多くの命が失われた。ひょうたんの形をした蓬莱(ほうらい)島も灯台が倒壊し島の一部が崩れた
▼大震災から間もなく1年半。町の風景は時間が止まったままだ。家の土台だけが残る消えた町並み、町長らが命を落とした役場は破壊されたまま今もその姿をさらす。土地の所有権、職員不足、何をとっても再興への道のりは険しい
▼住民はそれでも町で生きている。何ができるのか、大学生や地方紙の元記者らが、地元に寄り添いながらネットや新聞で町の発信を始めた
▼電気も風呂場もない津波の被害を受けた学校の一室が仕事場だ。志がなければもたない世界でもある。弱い立場の人の姿や思いを伝える。報道の一つの姿でもある
▼「だけどぼくらはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう 進め…」。現地にいると主題歌が応援歌のように響いてくる。
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