男の気持ち 主夫業 毎日新聞 20131116
50年間勤め、退職した。「退職したら桜前線を追いかける旅をしたい」と言っていた妻が乳がんと告知された。
手術は転移しないように全摘すればよいと思っていたのが、甘かった。退院後、抗がん剤投与、白血球の減少に伴う注射などのため毎週通院した。その間、嫁いだ娘に頼るわけにいかない。入院した日から主夫となり、妻の仕事をこなすことになった。
まず、今日の献立は何にするか考える。次に、広告を見てどの店が安いか調べて買い物をする。そして、調理・食事・後片付けをする。
就寝前に翌日の準備をして、金銭出納簿をつけ無駄遣いはないかチェックする。この食事の作業だけでも大変なのに、掃除、洗濯などやることはたくさんあった。
その上で、抗がん剤投与で苦しむ妻への心労も重なり、退職時72キロあった体重が62キロとなった。ダイエットで1キロ減量するのが大変だったのに、10キロ減量できたのに驚き、主婦への考え方も変わってきた。
1年半に及ぶ闘病生活が一区切りついたので、主婦業の移行を試みているが、妻は病み上がりであり再発が払拭(ふっしょく)されたわけではない。
そこで妻の負担軽減と62キロの体重維持のため、体を動かすことをいとわないで主婦業を続けている。
毎朝5時半に起き、みそ汁作りが主婦業のスタートである。今では厨房(ちゅうぼう)に立つことを楽しんでいる。
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