「愛というのは、その人の過ちや自分との意見の対立を許してあげられること

茨城新聞 いばらき春秋 20140319

「私は地獄を見た。私は決してクリミアを忘れない」。

ナイチンゲールが残した言葉の一つである。

ロシア編入の是非を問う住民投票が行われたウクライナ南部のクリミア半島は悲惨な歴史を持つ。

日本では黒船来航で大騒ぎとなった1853年、この地を主戦場に戦争が勃発し、

オスマン帝国、イギリス、フランスなどの連合軍とロシアが激戦を繰り広げた。

クリミア戦争は3年にも及びおびただしい犠牲者を出した。

その背後で懸命に看護活動を続けたのがナイチンゲールである。

彼女は戦後、看護教育に力を注ぎ、命を守る側の先頭に立った

住民投票の結果は、欧米とロシアの対立を激化させるだろう。

ウクライナの主権をないがしろにし、力を背景に突き進むロシアの姿勢は国際的にも受け入れ難いものがある。

戦争の度に人は平和の尊さを知る。

だが、時がたち、世代が変わり、その政治状況が平和より力の支配へと走らせることがある。

クリミアに限らず、アジアの空気も順風ではない。

世界から消し去ることができない戦争という地獄図。

「愛というのは、その人の過ちや自分との意見の対立を許してあげられること」。これもナイチンゲールの言葉だ。(幸)

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