いばらき春秋 茨城新聞20140404
世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし-と歌われるように、春は気もそぞろの季節である。
花見はまだかとそわそわし、人事異動だ入社式だとせわしない。
加えて今年は、財布の中が落ち着かない。数日前より小銭が増えたような気がするのは、錯覚ではない。
言うまでもない。消費税が5%から8%に上がったせいである。
100円の買い物で、支払いは108円。財布をすっきりさせようと1円玉を指で探るが、悔しいことに数枚足りない。
お札ははなから、数少ない。結果、買い物のたびに小銭が増える。
税収増は5兆円。これが全額、社会保障費に回される。
しかし、年金や少子化対策が充実するかというと、さにあらず。
多くは財源の穴埋めなどに消えてしまう。
少子高齢化時代の社会保障を支えるには増税だけでなく、景気回復が欠かせない。
世が浮足立とうとも、安倍晋三首相には腰を据えて経済・財政対策を研ぎ澄ましてもらわねばなるまい。
3%とはいえ血税だ。
将来不安が消えるなら、我慢もできよう。
だが、1円が花びらと消え散るようでは、嘆ききれない-ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ。
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