生まれ変わるなら日本 産経新聞産経抄20141103
桑田佳祐さんは、東日本大震災から半年後の平成23年9月11日、
宮城県利府町で、復興ライブを行った。
前年8月に、食道がんの手術を経験した桑田さんの「復活の日」でもあった。
つい最近まで、被災者の遺体安置所だった会場で、どんなライブをすればいいのか。
当時はまだ、自粛ムードが強かった。
悩んだ末に、お客さんが日々のつらいことを忘れて、
大いに浮かれてくれることが何より大切、との結論に達する。
会場の周りに縁日の屋台を出して、お祭り気分を盛り上げた。
「不謹慎なこともやっていい?」。観客に問いかけてから歌い始めた桑田さんは、
「いつもの変態オヤジになっていた」(『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』新潮社)。
きのう発表された紫綬褒章受章者のなかに、桑田さんの名前もあった。
「ずっと目立ちたい一心で、下劣極まりない音楽をやり続けてきた」。
感謝の言葉に、桑田さんらしい照れ隠しがのぞく。
ただ苦境にある人に手を差し伸べる行為が褒章に値するなら、他にも心当たりの候補者がいる。
旅客機の消息不明と撃墜という未曽有の事態の対応に今も追われる
マレーシア航空大阪支店に、プレゼントが届いた。
2機をモデルにした手作りのぬいぐるみである。
持参した2人の女性は、「応援したかった」とだけ語り、連絡先も告げずに立ち去ったという。
読売新聞によると、御嶽山の噴火によって大きな打撃を受けた麓の自治体に、「ふるさと納税」が急増しているそうだ。
先月公表された国民性調査で、「日本人は他人の役に立とうとしている」と考えている人が、
過去最多の45%に上った。
日本人の83%が、「生まれ変わるなら日本に」と考えるのも当然である。
Tags: 産経新聞