靴下繕いもののドラマです

女の気持ち 繕い物 
毎日新聞 2015年06月01日 

 近ごろは、「縫い物」という言葉が死語になりそうなくらい、自分もしないし、したという話もほとんど聞きません。

 先日、長女が「子どもらが、すぐ靴下に穴を開けちゃう」と言って袋いっぱいの靴下を持って来ました。

 無理もない。女の子とはいえ小学校3年生と1年生の育ち盛りで、元気いっぱい動き回ります。

 「縫っている時間がないから、やってくれる?」

 靴下くらい買えば?の言葉をのみ込み、いやいや、ここは、ほめなければいけないところだと考え直し、仕事に、家事に、子育てに忙しい娘を助けようと、袋を預かりました。

 穴が開いているものは、裏から当て布をして穴まわりをかがり、穴開き寸前のものは、やは

り、当て布をして、上からぐしぐし縫いました。なるべく、繕った跡が目立たないように、当て布や糸の色もできるだけ靴下の色に合わせました。

 次第に、これはどの当て布で、どう縫おうかと、考えるのが楽しくなり、時間がたつのも忘れてしまいました。

 およそ1日がかりで、なんと14足を繕いました。

 何だかとてもクリエーティブな仕事をした気分になったのですが、考えてみれば、実家の母など、昔の人は、もっともっと少ない材料で、でも上手に繕っていたなと今さらながら感心しました。

 数日後、繕った靴下をはいている孫を見て、さらにうれしくなりました。

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