国宝松江城と出雲そば

余録:そば店の数が日本一多いという信州そばは番粉と…
毎日新聞 2015年06月28日

 そば店の数が日本一多いという信州そばは一番粉という白い粉を使うことが多いので、概して色が白っぽい。一方、西日本を代表する出雲(いずも)そばはソバの実を皮ごと石臼(いしうす)でひくので、色が濃くて香りが強い。遠く距離を隔てて対照的に見える二つのそばだが、実はつながりがある。江戸時代初期の1638年、徳川家康の孫に当たる松平直政(まつだいら・なおまさ)が信州松本藩から松江藩の藩主に就いた際、そば職人を伴い、そば打ちの技術を持ち込んだのが出雲そばの始まりだといわれる。近くもう一つの縁ができる。戦国時代から江戸時代にかけて建築された天守が残る12城のうち、松本城と姫路城、犬山城、彦根城の4城が国宝指定されている。5番目に古い松江城は重要文化財にとどまっていたが、先月の文化審議会の答申を受け、今夏にも国宝の仲間入りをする。松江城の国宝指定は松江市民の念願だった。1611(慶長<けいちょう>16)年の完成と伝えられながら、築城年を記した祈祷札(きとうふだ)が1937年に写真撮影されたのを最後に行方不明になっていた。築城時期を明確に示す史料を欠くことが壁になっていた。松江市が懸賞金500万円をかけるなど市民挙げて捜した末、2012年5月、城の敷地内にある松江神社に保管された棟札(むなふだ)の中から2枚の祈祷札が見つかった。「慶長十六年正月吉祥日(きちじょうにち)」という墨書が残り、文字通りの切り札になった。13万筆近い署名を文化庁に提出していた松江市民は喜びに沸く。夏からはテレビ番組制作や特別展などを通じて「国宝松江城」を全国にPRするという。長寿を願って食べるそば同様、城も長く人々に愛され続けることだろう。

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