毎日新聞 20160801
「なるほど」と、感じた記事です。
毎日新聞くらしナビスローライフが好きです。
今日の『見じまい練習帳』から
身じまい練習帳
孫たちに「死」を教えるために
先月亡くなった永六輔さんは「いい患者の10カ条」や「いい医者の10カ条」ということを説いていたらしい。親交のあった神宮寺(長野県松本市)の高橋卓志住職から教わった。なかなか奥深い。
いくつかバージョンがあるが「いい患者」で私が好きなのはこれ。
<お医者さまと「さま」をつけない>
<診察・医療ミスで驚かない>
病気を持つ人とそれを治す専門家。医者と患者は上下関係にはないと明快だ。最後は<「ご臨終です」と言われたら(医者の立場も考えて)死んだふりをする>。さすが永さん、である。
無性に永さんの「大往生」(岩波新書)を読みたくなった。1994年の初版からベストセラー。7月25日に出た94刷を買ってくる。死にまつわる滋味深い言葉を集めた本だと思い込んでいたが、冒頭に<この本は、亡き父、永忠順に捧(ささ)げる>とあった。90年8月に亡くなった忠順さんは東京・浅草のお寺の住職。病院での延命措置を拒否して自宅に連れ帰り、たくさんの孫たちに囲まれて旅立ったという。父への思慕の本だった。
「父」という章にこんな文章がある。<彼ら(孫たち)は生まれて初めて臨終に立ちあって、生命の終わりをそれぞれの胸に納めた(中略)父は見事に死ぬということの意味を孫たちに教えてくれた>
さらに対談ではこう語っている。
<ぼくは昨年、父を見送ったときに、そうか、家族のために死んでみせることが最後にできるんだという、その姿勢こそがいちばん大事だと教えられたような気がしたんです。つまり、家族に死というものを教える>
最近、学業を優先したり式の途中にぐずられて困ったりするという理由で、祖父母の葬儀に孫を連れていかないケースが多いという。その子たちはいつ、どこで、「死」を学ぶのか。「死」の章ではこんな言葉が紹介されている。
<葬式で、赤ちゃんの声が聞こえると、何だかホッとするんですよ。/子供は葬式に重要です>