ミャンマーに物品寄贈

新聞販売店経営 常総の七井さん ミャンマーに物品寄贈 戦没者慰霊学校・NGO支援
有志「巡拝団」現地で交流

茨城新聞 20191205

七井仁一さんから寄贈されたテレビが設置された教室。子どもたちに文房具も配られた=ミャンマー・マンダレーのポパ山学校七井仁一さんから寄贈されたテレビが設置された教室。子どもたちに文房具も配られた=ミャンマー・マンダレーのポパ山学校
太平洋戦争時に多くの日本人兵士が戦死したミャンマー(旧ビルマ)の発展を願い、常総市で新聞販売店を営む七井仁一さん(69)が、現地の学校や非政府組織(NGO)にテレビやバイク、ユニホームを寄贈した。有志たちで続ける戦没者慰霊と同国支援活動の一環。寄贈に合わせて有志が「巡拝団」を結成し、11月19〜23日に現地を訪問。ミャンマーの人たちと交流を深めた。

巡拝団は、常総市若宮戸で石油販売会社を経営する稲葉修一さん(69)が結成した。県内外の7人が参加。七井さんは都合が付かず不参加となったが、代わりに手紙と自身の写真を知人の稲葉さんに託し、寄贈先である学校に持って行ってもらった。

一行は20日、世界三大仏教遺跡の一つとされるバガンを訪問。同地で消防活動を行っているNGOに、七井さんから託された隊員用のユニホーム30枚を寄贈した。

稲葉さんら有志はこのNGOに、2014年と16年に消防車を寄贈している。七井さんは16年の時、ミャンマーまでの輸送費を負担したとして、17年にバガン市長から感謝状が贈られた。上下水道が整っていないバガンで消防車は、給水用にも使われる。

今回届けた長袖シャツのユニホームの背中には「BAGAN Fire Station」の名が誇らしく刻まれている。NGO代表のキンマオヌーさん(60)は「日本からの支援をいつも感謝している。ユニホームはすぐにメンバーに配りたい」と笑顔で話した。

21日はバガンから約50キロ離れたマンダレーの観光地、ポパ山の麓にあるポパ山学校を訪問した。同校では13歳の中学生と小学生の合わせて130人が在籍。七井さんから贈られた液晶テレビ5台は10月、バイク2台は訪問の数日前に届いたばかりだった。

テレビは教室に配置され、DVD教材を使った授業が行われていた。教室にテレビが付くのは初めてで、女性教師は「DVDが使えるので、授業のスピードが早くなった」と説明し、生徒の一人は「映像での授業はとても分かりやすい」と感想を語った。

一行は日本から持参した文房具や、常総市立石下小学校(落合千鶴子校長)の募金で購入したノート720冊も児童一人一人に手渡した。受け取った子どもたちは早速、ノートに自分の名前を書き込み、喜んでいた。

教室では七井さんの手紙を稲葉さんが代読。写真も手渡された。ウーミウ校長(53)は「テレビが来て子どもたちも喜んでいる。大変ありがたい。バイクは教職員が町に出るときに使いたい」と感謝の言葉を述べた。

ミャンマー巡拝は今年で45回目。稲葉さんの父、茂さん(故人)が始めた活動だ。

茂さんは太平洋戦争でビルマの戦地から奇跡的に生還した一人。戦後は同国の発展を願い、私財を投じて学校を造るなどした。今回訪問した学校の建て替えにも協力している。

稲葉さんは「父の遺志を継ぎ、今後もさまざまな支援を行っていきたい」と意欲を示し、帰国の報告を受けた七井さんは「ミャンマーの子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かぶ。微力ながら貢献できてうれしい。より良い学校生活を送ってもらえれば」と話した。

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