世界初イモリの屋外養殖挑戦 生息環境復元へ谷津田で田植え 5月18日産経新聞
里山や谷津田(やつだ)を昔の姿に復元してアカハライモリを養殖しようと、「いもりの里協議会」(蛯原孝夫代表)が茨城県取手市貝塚の水田で田植え体験イベントを開いた。田植えはイモリが生息できる環境を整備するためのもので、秋にはイモリを放流する予定。世界初というイモリの屋外養殖を目指す。(石田努)
アカハライモリは谷津田に生きる両生類の代表で、生命科学の教育や再生医療の研究分野での実験動物としても極めて有用だが、生息数が減少している。平成18年に準絶滅危惧(きぐ)種に登録された。
一方、谷津田や里山には、市民団体などの保護、保全活動もあって、メダカやホタル、ドジョウといった動物が水辺に戻りつつある。だが、イモリの姿は見ることができず、取手市でも確認されていない。
同協議会では、NPO法人「次世代教育センター」や筑波大、同市と協力して昭和40年代の谷津田や里山を復元し、研究、教育用のアカハライモリを養殖しようというのが狙いだ。イモリの屋外養殖は世界でも初めてとあって注目されており、モデルケースとして飼育状況を全世界へ発信することができるとしている。
現在、筑波大で親イモリ約千匹を飼育中で、秋には子供とともに放流することにしている。
「いもりの里事業」の一環として、田植え体験イベントが16日に開かれ、筑波大の学生や地元地権者、地元やつくば市の親子連れら約130人が参加。子供たちは「あっ、ザリガニがいた」などと歓声を挙げながら田植えを楽しんでいた。
この日植えた稲は9月に刈り取り、収穫祭を行う。収穫祭では村祭りや伝統文化についても学習する予定になっている。
筑波大の千葉親文准教授は「イモリがすめる生態系を復元したい」と話している。