「真鍋の桜」を守ろう

「真鍋の桜」を守ろう  常陽新聞6月11日

樹勢回復事業で延命化

土浦市は今年度、同市真鍋4丁目の市立真鍋小(福田隆通校長、児童数876人)

の校庭にある県指定天然記念物「真鍋のサクラ」の樹勢回復事業を実施する。

同事業は1996、97年度にも県補助事業で実施したが、既に13年が経過し、再度、

実施する必要性が生じた。ヤマザクラやエドヒガンは数百年の古木になることもあるが、

「真鍋のサクラ」のようなソメイヨシノは寿命が短く「60年寿命説」があるほどだけに、

適切な処置で健全な生育と延命を図る方針だ。

ソメイヨシノは江戸時代中期~末期に園芸種として生まれたという。

葉を付けるよりも先に花が咲き、開花の華やかさなどが人気を呼んでいる。

日本全域に分布し、桜前線もソメイヨシノの開花状況が基準となっている。

「真鍋のサクラ」は1907年2月、現在地に校舎を移築した際に、苗木を記念植樹した。

今年で植樹104年目になる日本を代表する古木だ。

5本あり、中央の3本は56年5月に県天然記念物に指定され、

両端の2本も2002年に追加指定された。

新入生を迎える「お花見集会」が新聞やテレビで紹介されることが多く、今では全国に知られる。

一時は樹勢が衰えてしまったが、市が96、97年度に県の補助を受けて

樹勢回復事業を実施したところ、効果があった。

ソメイヨシノは他のサクラよりてんぐ巣病にかかりやすく、

キノコ類やアメリカシロヒトリによる被害も受けやすいとされることもあり、

98年度からは樹木医の資格を持つ業者に年間管理を委託、保存に努めている。

地元でも保存に向けた意識は高く、08年3月には「真鍋の桜保存会」が設立された。

「真鍋の桜を楽しむつどい」が開かれたり、ライトアップも行われるなど、地域にも開放されている。

しかし、今では枝や葉の生育が一部で不均一な傾向が見られるようになり、

今後も土浦市のシンボルとして、児童や地域に長く親しまれるためにも、

新たな樹勢回復事業を実施、より健全な生育と延命を図る必要性が生じた。

今回は県の補助が受けられなかったため、市の単独事業で実施する。事業費は約500万円

県文化財保護審議会委員に現地説明を行ったうえで、県教育委員会に現状変更届を提出。

県の許可を得て事業を実施する。

回復事業は成長が止まっている時期が望ましいため、今年12月から来年2月ごろを予定している。

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