戸頭おやすみ処

空き家活用、地域の拠点に 守谷市や取手市で動き相次ぐ  ~朝日新聞100901~

 
 こぢんまりした空き家を自治体が借り上げ、住民自らが運営して利活用する地域活動の拠点づくりが、守谷市と取手市で相次いで動き出した。守谷市では3世代が集う「ふれあい館」が8月末に開館、取手市では20日の敬老の日に「戸頭おやすみ処(どころ)」がオープンする。いずれも、地域の絆(きずな)を結ぶ施設で、独居の高齢者世帯の孤立化を防ぐ狙いも強く込められている。

 守谷市では「コミュニティサロン事業」と銘打ち、町内会などを対象に空き家の利活用を呼びかけたところ、2団体が手を挙げ、その第1号に下ケ戸(さげど)町内会が認定された。

 同町内会の167世帯の大半は30~40年前に移り住み、首都圏に通勤していた人たちが世帯主。現在は60~70代と年を重ねている。子や孫も暮らし、老人会や子供会の活動は割と活発だという。ただ、いつでも住民たちが自由に集える施設が今までなかった。

 8月29日に誕生した「ふれあい館」は、かつて生命保険会社が事務所に使っていた2階建て130平方メートルの建物。今後、町内会の打ち合わせや行事の準備などに利用するほか、防犯防災の拠点にもなるという。

 天谷永正会長(70)は「住民たちでアイデアを出し合ってさまざまな世代間の交流事業を軌道に乗せたい」と話している。

 取手市の「おやすみ処」も、35年前から入居が始まった戸頭団地の元「新住民」が主な利用者になるという。約4200世帯が暮らし、65歳以上のお年寄り世帯は435世帯、独居が317世帯。高齢者の不安や孤独感を解消するための施設と位置づけ、改修工事が8月31日に終わった。

 ショッピングセンターの1階空き店舗(61平方メートル)にお茶やコーヒーを無料で振る舞う喫茶スペース(入場料100円)を設け、民生委員やボランティアが悩み事の相談にも応じるという。

 市が市内全域で5月からスタートさせた希望者宅に週1~2回、電話をかけて生活状況や安否を確認する「あんしんコール」に続く市肝いりの「見守り事業」の柱だ。

 住民らでつくる、おやすみ処運営会の若松八郎代表(67)は「高齢化が大変なスピードで進んでおり、孤独死や介護疲れによる悲劇が心配される状況。引きこもりがちな高齢者が足を運び、語り、ストレスを発散できる場にしたい」と話している

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