かしてつバス、平日利用1000人突破 ~常陽新聞20110706~
5月の利用者数、本格運行に弾み
廃線となった鹿島鉄道跡地(バス専用道路)で昨年8月末から運行を開始した全国初のBRT事業「かしてつバス」(バス高速輸送システム、石岡駅~旧小川駅間7・1㌔)で、5月の1日当たり平日利用者が1015人と、1000人の大台を突破したことが5日、分かった。目標とする同鉄道廃線時の1600人には達していないものの、将来に明るさが見える数字で、取り組んできた施策が一定の効果をもたらしたとしている。同日、石岡市石岡1丁目の市消防本部で開かれた第9回かしてつ沿線地域公共交通戦略会議で示された。
利用者数はバスを運行している関鉄グリーンバスが月のうち1週間を計測、平日と休日の平均を出している。今年1月に900人台に乗ったものの、それ以外は800人台後半で推移してきた。
3月は東日本大震災の影響で計測できなかった。ただし、11日は午後8時以降運休とし、15日以降は燃料の確保が困難になったため土日ダイヤで運行したものの1日も休まなかった。燃料不足でガソリンスタンドに並ぶ自動車で平行する国道355号は大渋滞となったが、専用道路を走るバスは渋滞知らずで、BRT事業の優位性が立証されたとした。
しかし、接続するJR常磐線が11日から運休となり、再開したのが31日になったことや沿線高校の3年生の自由登校、在校生の春休みなどもあって、利用者はほとんどいなかったという。4月になると、昨年の代替バスの利用者794人を超える870人が利用。5月には1015人と初めて1000人台を突破した。
サポーターズクラブによる利用促進運動などが一定の効果をもたらしたとしている。石岡運動公園最寄りの「東田中駅バス停」の利用者が多かった理由では、震災の影響で他市の運動公園施設が使用不可能となり、会場が同公園に振り替えられたことも大きいという。このため、運動公園利用促進など、新たな利用者確保の方向性も見い出せたとする。
これらを踏まえ、関鉄グリーンバスは秋のダイヤ改正で、アンケート調査などで強い要望のあった終バスを試験的に45分繰り下げ、JR常磐線との接続に配慮する。
運行便数は平日113本から100本、土日を84本から78本に減らす。このうち、石岡駅~茨城空港間は平日・土日とも16本から18本に増便する。また、旧代替バス路線の一部だった南台循環は現在土日のみ1便だが、平日4便を試験的に自主運行し、山王台病院や南台団地内の研修施設への利便性向上を図る。
関鉄グリーンバスは「昨年8月30日の運行開始から間もなく1年を迎えるが、実証運行から本格運行に移行しても継続的に輸送サービスを提供していくには、利用者や地域住民のニーズに的確に応えていくことが重要」としている。
石岡市南台バス停付近の写真