Dr.中川のがんの時代を暮らす

Dr.中川のがんの時代を暮らすは、大好きなコラム 

特に本日の偉大なる宇宙は、^ ^*の気持ちそのまま(笑)

記事そのまま紹介します

Dr.中川のがんの時代を暮らす:6 偉大なる宇宙 8月28日

 東京電力福島第1原発の事故では、「想定外」とされる1000年に1度の巨大津波が大きな被害をもたらしました。しかし、46億年の地球の歴史には、それこそ想定を大幅に上回る「大事件」がたくさんありました。

 たとえば、巨大隕石(いんせき)の衝突によって海の水がすべて蒸発してしまったこと(全海洋蒸発)も、地球全体が凍りついたこと(全球凍結)もありました。そのたびに、生命は絶滅の危機に直面してきました。私たちは、あくまでも自然の一部であり、自然を完全に支配することなど不可能なのです。

 インターネットや電子メールで情報を瞬時にやりとりし、クローン動物も作り出す現代文明をもってしても、放射性物質のセシウム137の半減期(約30年)を短くすることはできません。ウラン238の半減期は約45億年と、地球の年齢とほぼ同じですから、人間の時間感覚など全く通用しません。この宇宙は人間を超越した存在です。豊かな自然の中で、一神教的な宗教にあまり頼らず生きてきた日本人にとっても、宇宙は「神」に似た存在だと言えるでしょう。そして、そのような放射性物質の性質が、多数の有害物質の中でも、とりわけ特別視される背景かもしれません。

 私たちの体の7割近くは水でできています。水の分子は、水素と酸素でできていますが、水素原子は、137億年前の宇宙誕生の直後にできたものです。酸素原子や炭素原子は、星の内部で「核融合」によってできました。甲状腺ホルモンの材料として人体に不可欠なヨウ素は、巨大な星が「超新星爆発」という大爆発を起こして一生を終えるときにできたものです。

 夜空のどこかの星の死によって、宇宙空間にまき散らされた元素が、いまの私たちの命を支えています。そして私たちの死によって、体を構成していた元素は再び宇宙に帰り、新しい星の一部になります。私たちの命は宇宙の一部と言ってもよいのです。

 今、都会が消費するエネルギーを地方の原発でまかなう仕組みが問い直されてもいます。私たちを産み落とし、そして帰っていく「宇宙」をコントロールできると過信したことがそもそもの問題だったのかもしれません。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)=Dr.中川へ質問をお寄せください

 

^ ^* そうは言っても日々の暮らしの中の小さな困りごとは、はかり知れません

でも、ちょっとだけ心にゆとりを持ちたいと思う日々です

 

8月24日(水)産経新聞 朝の詩~

  地球の記憶

地球にだって

寿命はある

五十億年後という

途方もない歳月でさえ

一日一日の積み重ねで

けっして永遠ではない

天地が裂け

海が哭くその日まで

ぼくらが笑い 苦しみ

怒り 涙したことを

愛し愛され生きたこと

憶えていてほしい

 

Dr.中川のがんの時代を暮らす:5 病院の「品定め」可能に 8月14日

 「世界一のがん大国」であるにもかかわらず、日本では、がんに関するデータを集計してがん治療に生かす「がん登録」が遅れていました。このため、患者が病院を選ぶときに参考にできるデータがほとんどない状態になり、ちまたにはあやしい「病院ランキング本」が出回ることになってきました。

 先月末、国立がん研究センターは画期的なデータの公開に踏み切りました。08年の「がん診療連携拠点病院」のがん登録データの公表で、これまでのような都道府県単位の集計結果だけでなく、拠点病院ごとのデータを明らかにしたのです。

 がん診療連携拠点病院は、質の高いがん医療を提供することを目的に厚生労働相が指定した「地域のがん診療の拠点」となる病院のことで、08年時点で全国377施設(現在は388施設)が指定されています。そのうち、359施設の総数約43万人(08年の新規がん患者の約6割にあたる)のがん患者の、がんの種類や進行度、治療方法などの集計データが公表されました。これで、各病院の治療の実態をある程度つかむことができ、病院の「品定め」も可能となってきました。

 今後、がん登録がさらに充実すれば、自分にあった治療を家の近くで受けるにはどの病院に行ったらよいか、などの判断基準になるはずです。病院側もうかうかできませんから、切磋琢磨(せっさたくま)が進むでしょう。

 さて、病院にも患者さんにも大きなメリットをもたらすがん登録制度の先駆けが、広島・長崎の原爆被爆者の調査だったことはあまり知られていません。放射線被ばくが一定の量を超えると発がん率が直線的に増えることが分かっていますが、これは、広島・長崎の原爆被爆者を調査したデータに基づいています。

 原爆の場合、被ばく量は爆心地からの距離でほぼ決まります。被爆時にどこにいたかを聞き、その後、がんを発症したかどうかを調査したことによって、被ばく量とがんとの精度のよいデータが得られたのです。広島・長崎の被爆者の犠牲とがん登録によって、私たちは放射線の人体への影響について貴重なデータを手にしたといえます。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

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