Dr.中川のがんの時代を暮らす

Dr.中川のがんの時代を暮らす:/32 暮らしの中のリスク
放射線医学総合研究所の神田玲子上席研究員らの研究グループが、市民638人と研究所の職員らを対象に実施した調査によると、一般人が暮らしの中の「リスク」として恐怖を感じる順番は、ピストルがトップ、2番は原子力、3番が喫煙でした。実際のリスクの大きさとしては、喫煙、飲酒、交通事故の順なので、身近なリスクに対する一般市民の意識のずれが示されたことになります。
リスクの認識に関してギャップが生まれるのは、メディアの影響も小さくないと感じています。たとえば、現在、低線量被ばくのリスクが大きく報道されていますが、広島・長崎の10万人以上の被爆者を50年以上も綿密に追跡した結果、100ミリシーベルト以下の被ばくでは、がんの明確な増加は確認できていません。低線量被ばくによる発がんリスクの増加は、あったとしても非常に少ないと考えるべきだと思います。
放射線以外にも、ダイオキシンや環境ホルモンなど、新顔の「リスク」が大きく報道されては忘れられていきました。一方、年間36万人近くが死亡するがんについては、報道は多いものの、大半の情報は断片的で、国民の知識を増やす啓発的な内容になっていません。たばこはがんだけでなく心臓病や高血圧も引き起こし、年間約20万人の死因となっていますが、警鐘を鳴らすメディアは多いとは言えません。年間3万人を超える自殺、年に約4600人が亡くなり6万人以上が後遺症に悩まされている交通事故も、もっと積極的に取り上げてほしいと感じます。
メディアを見ていると、本当に備えが必要な重大なリスクは報道されにくい傾向を感じます。あまりにも大きいリスクは「日常的」すぎて、「ニュース」になりにくいためでしょうか。私たちは、本当のリスクと報道で話題になるリスクの差に注意を払う必要があります。
2001年に起きた9・11のテロの後、米国では自動車事故による死亡が年間1600人も増えました。テレビで繰り返し放映された飛行機によるテロの映像の影響で、よりリスクが高い長距離運転による事故が増えたためです。暮らしの中のリスクの大きさを客観的に測る「ものさし」があればいいな、と思います。(中川恵一・東京大病院准教授、緩和ケア診療部長)

Dr.中川のがんの時代を暮らす:32 暮らしの中のリスク

放射線医学総合研究所の神田玲子上席研究員らの研究グループが、市民638人と研究所の職員らを対象に実施した調査によると、一般人が暮らしの中の「リスク」として恐怖を感じる順番は、ピストルがトップ、2番は原子力、3番が喫煙でした。実際のリスクの大きさとしては、喫煙、飲酒、交通事故の順なので、身近なリスクに対する一般市民の意識のずれが示されたことになります。

リスクの認識に関してギャップが生まれるのは、メディアの影響も小さくないと感じています。たとえば、現在、低線量被ばくのリスクが大きく報道されていますが、広島・長崎の10万人以上の被爆者を50年以上も綿密に追跡した結果、100ミリシーベルト以下の被ばくでは、がんの明確な増加は確認できていません。低線量被ばくによる発がんリスクの増加は、あったとしても非常に少ないと考えるべきだと思います。

放射線以外にも、ダイオキシンや環境ホルモンなど、新顔の「リスク」が大きく報道されては忘れられていきました。一方、年間36万人近くが死亡するがんについては、報道は多いものの、大半の情報は断片的で、国民の知識を増やす啓発的な内容になっていません。たばこはがんだけでなく心臓病や高血圧も引き起こし、年間約20万人の死因となっていますが、警鐘を鳴らすメディアは多いとは言えません。年間3万人を超える自殺、年に約4600人が亡くなり6万人以上が後遺症に悩まされている交通事故も、もっと積極的に取り上げてほしいと感じます。

メディアを見ていると、本当に備えが必要な重大なリスクは報道されにくい傾向を感じます。あまりにも大きいリスクは「日常的」すぎて、「ニュース」になりにくいためでしょうか。私たちは、本当のリスクと報道で話題になるリスクの差に注意を払う必要があります。

2001年に起きた9・11のテロの後、米国では自動車事故による死亡が年間1600人も増えました。テレビで繰り返し放映された飛行機によるテロの映像の影響で、よりリスクが高い長距離運転による事故が増えたためです。暮らしの中のリスクの大きさを客観的に測る「ものさし」があればいいな、と思います。(中川恵一・東京大病院准教授、緩和ケア診療部長)

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取手市放射線量マップ

測ってガイガーはかなり高数値ですが・・・ 計測方法によ手もかなり値が違いますね

グーグルの検索もサジェスト機能がついて予測検索が便利になりました

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