重さ約60トン「富岡蔵」引っ越し 

茨城新聞20131122 動画ニュース

重さ約60トン「富岡蔵」引っ越し

古河市の歴史的な旧市街の街並みを残そうと、旧炭問屋の見世蔵「富岡蔵」を建物ごと約70メートル離れた市有地に移動する「曳家(ひきや)」が21日朝、同市本町1丁目で始まった。建物が面する鍛冶町通り周辺は交通規制され、路上を移動していく蔵の様子を見守る大勢の人たちであふれた。移設作業は22日午後7時までに完了する。

富岡蔵は木造2階建て、瓦ぶきの土蔵で黒漆喰(しっくい)。床面積は約128平方メートル。1909年ごろ建造され、炭問屋の店舗として使われてきた。鍛冶町通りの拡幅工事に伴い取り壊しが一時検討されたが、所有者の富岡義雄さん(61)が曳家の費用を負担。市有地での保存が決まった。

重さ約60トンの蔵は地上から高さ約1・5メートル持ち上げられ、下部にローラーを取り付けられた。作業員約30人が油圧ジャッキや重機を用い、鉄製レールの上を毎時約10メートルの速さで道路を西に向かってゆっくりと移動させた。

移転先の敷地には、1913年ごろ建造の大谷石の蔵「酒井蔵」(床面積約298平方メートル)があり、道路を挟んで旧塩問屋の蔵5棟を再利用して飲食店を営む「古河鍛冶町みらい蔵」がある。市は今後、移設した蔵の活用方法を検討していく。

曳家を見守った義雄さんの妻、仁子さん(54)は「(夫の)両親の自慢の建物で、清掃をしっかりやり、磨き込んでいた。古河市のために役立ててほしい」と話した。鍛冶町自治会長の斉藤満さん(77)は「道路拡幅で蔵が失われるのを心配したが、保存されることになりうれしい。今後の利用法に注目したい」と期待した。

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