女の気持ち 今年の桜は 毎日新聞 20140224
昨年の今ごろは、息子の大学受験で気持ちの落ち着かない日々を送っていた。前期の試験に落ちてしまったが、彼なりのプライドから後期も同じ大学を受けるという。希望がかなうのはほぼ無理だろうと、親は予備校のお金の算段をしていた。
後期試験発表の当日。午前10時にパソコンで合否を確かめていた息子が最初に発したのは「えっ!」だった。なんと番号があるという。私はキャーと叫び、夫は息子と抱き合った。
その日のうちに部屋を探すため空港に向かった。高速インターの入り口には何本もの桜。満開である。青い空に溶け込むような花びらの色。助手席の息子の笑っても笑っても止まらない笑顔、ホントにサクラ、咲いたんだ。この光景は一生忘れられないと思った。
一昨年は義父を見送った春だった。お骨とともに火葬場の外に出た時、少し満開を過ぎた桜が強い風に舞っていた。泣いても泣いても止まらない涙で眺めた。この景色は一生忘れないと思った。桜の花びらにたくさんの思い出が重なる。
そういえば随分昔、進むべき道が見えなかった頃、夜桜の下でブランコをこぎ続けた日もあったなあ。
これから先、私はどんな桜に出会えるのだろう。どんな気持ちで眺めても、桜は黙って桜の花を毎年忘れずに咲かせるのだろう。
今年の春は穏やかな気持ちで、この花たちにであえますように。
女の気持ち ネットの新聞 毎日新聞 20140224
新聞を読めた。やっと今日(16日)の新聞が。
甲府市は観測史上記録的な豪雪で、新聞が昨日から配達されていません。定年退職してから朝食の後、ゆっくりコーヒーを飲みながら隅々まで時間をたっぷりかけて読むのが楽しみの一つだったのに……。ああ、読みたい!
大通りに出るまでの道を確保するために、ご近所の皆さんと朝から懸命の雪かきを済ませ、汗をふきふき、突然思い出しました。折り込みチラシに購読料だけで、ネットで毎日新聞を読めるって書いてあったことを。昼ごはんも忘れ、会員登録をし、たった今新聞の活字を読みました。
羽生結弦くんの笑顔が飛び込んで来ました。地元の雪害も読みました。車の中やホテル、電車の中で夜を明かした方々に比べれば、今の私は電気もつくし、暖もとれる。
車は雪で埋没し、家の前の道路は車が通れる状況にはないけれど歩けばなんとかなる。通常の暮らしになるのは、いつになるかわからないけれど、孤立していないことだけは確かだ。新聞も読めたし……。
いつものことが当たり前にできないこと、その不便さはそうなってみないとわからないことが実感できた。新聞を読めたことに感謝します。ありがとう。
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