茨城新聞 20140813
県独自米「ふくまる」、家庭向け販売も視野 業務用から方針転換
2013年産から本格普及が始まり、2年目の収穫を間もなく迎える本県のオリジナル米
「ふくまる」の販売戦略で、県が大きくかじを切った。
当初「業務用」としていた販売を14年産から「家庭用精米」も視野に入れる方針に転換。
ブランド化へ向け、生産地域ごとにばらついた品質を均一化するマニュアルも整備する。
一般消費者の目に触れる形で流通させ、一層の知名度向上を狙う考えだ。
ふくまるは、県が普及を目指す奨励品種として12年に採用した。
コシヒカリと比べ大粒で粘りがあり、冷めてもおいしいという特長から、
小売店のおにぎりや総菜、回転ずし店など、業務用として販路を広げてきた。
ただ、生産者の間からは「知名度が上がらない」「価格向上を」などの声が上がっていた。
業務用ではコメとしての存在感や知名度に限界があり、消費者に印象づけるブランド確立が課題だった。
このため県は、食のアドバイザーを務める藤原浩さんの助言を受け、販売戦略を転換。
山形県産の「つや姫」をブランド化した実績のある藤原さんは
「県を代表する品種を最初から業務用とする先には、未来はない」と断言。
14年産からは“脱業務用”として販売を進める。
また今年4月、県は生産者や卸業者らと連携して「ふくまる推進協議会」を設立。
安定して高品質な商品を供給できるよう生産方法を確立し、普及促進と品質改善に向けた検討も進めている。
今後、協議会では14年産の玄米と土壌を関連付けた全データを分析。
土壌ごとに異なる品質を均一化するための生産マニュアルを整備し、
生産者に配布する。「県内どの地域で作っても、同じ味」(県産地振興課)にしていく。
今月上旬、同協議会はつくば市内でふくまる生産者大会を開催。
14年産の作付け面積は昨年の1・5倍となる計800ヘクタールで、
「想定を上回るペース」(同課)で生産が拡大している状況も報告された。
作付けを昨年の2倍となる2・8ヘクタールに増やした古河市恩名の生産者、中山一郎さん(57)は
「ふくまるは作りやすい品種。行政が消費者のニーズをしっかり調査し、農家がそれに応える仕組みをつくることが大事。
官民がしっかり手を結んで取り組めば、販売は伸びていくはず」と期待した。