「今が一番幸せ」

女の気持ち 若い方にエール 茨城県取手市 大久保さん
毎日新聞 2015年07月26日

 先日、「女の気持ちをたずねて」(6月29日掲載)の欄で、重い知的障害を伴った自閉症の息子さんを持つ伏谷江利子さんが「息子のおかげで私が一番得してるって思う」と述べられていた。

 彼女はまだ30代の若いお母さんだが、71歳の私もまったくその通り、と共感を覚えた。

 やはり重い知的障害を持つウチの次男は45歳になり、10年以上前に亡くなった夫の面影が濃くなってきている。

 彼の笑顔は天下一品だ。言葉を持たない彼のその笑顔から、私は言葉以上の癒やしをもらう。

 彼の幸せを願えばこそ、親同士が協力し合ってお互いに強くなることを学んだ。彼のおかげでさまざまな分野のすてきな人たちにも出会えた。

 これまでに真につらかったのは、夫の死、そして、私自身の胸椎(きょうつい)圧迫骨折で激痛の中、彼の世話をしなければならない時だった。

 それも何とか乗り越えた今、彼は週の半分をグループホームで過ごし、週末に帰宅する。私はそんな今が一番幸せ、と感じる。

 振り返ってみると、私はいつも「今が一番幸せ」と思いつつ暮らしてきたような気がする。

 つらかったさなかは「いつかきっとこのことを、笑いながら話せる時が来る」と言い聞かせて、つらさを乗り越えてきたのかもしれない。

 伏谷さんにも「今が一番幸せ」と思える時を積み重ねていってほしいと願っている。

Tags: ,

Leave a Reply