戦後70年の夏、県内各地で過去を振り返る展覧会が開かれている。常陽銀行は水戸市南町の本店で、県内の70年間の歩みを表した写真展を、取手市は同市吉田の市埋蔵文化財センターで、企画展「取手の昭和時代」をそれぞれ開催中だ。
◇従軍看護師への寄せ書き初公開 「取手の昭和時代」
「取手の昭和時代」は、昭和初期から日中戦争、第二次世界大戦を経て取手市制施行(1970年)までの約半世紀を振り返る内容。従軍看護師への赤十字旗寄せ書きが初公開されたのをはじめ、戦争が市民に何をもたらしたかを如実に物語る展示品が多い。
従軍看護婦への寄せ書きは、多数の氏名に混じって、「滅私」や「志(し)つかり頑張ってね」など、流麗な筆遣いのメッセージも読み取れる。飯島章センター長は「あまり世に出てこない貴重な資料。絶対に繰り返してはならない歴史だ」と解説する。
その脇に展示された看護師の帽子は白色ではなく、戦場で目立たないカーキ色だ。取手に空襲はなかったが、当時の取手競馬場(現在・取手競輪場)などを標的と想定した取手町防護団本部発行の書類「防空演習情報」や、防空演習の写真なども目を引く。
一方、現在のJR藤代駅近くの商店街を双六(すごろく)に記した「相馬町繁栄勉強商店双六」(1938年1月1日発行)からは、当時のにぎわいを想像できる。
展示総数約160点。9月25日まで(月曜休館、9月21日開館)。