売れ残った恵方巻きが大量に捨てられている

毎日新聞2016年2月20日 

 「売れ残った恵方(えほう)巻きが大量に捨てられている」。悲痛な声が節分の3日以降、インターネット上で問題になった。コンビニの店員らが、食べ物を粗末にする流通のあり方をおかしいと思い、写真付きで投稿した。
同じ3日、フランスで、売れ残り食料の慈善団体への寄付を大型量販店に義務付ける法律が成立した。違反して廃棄すれば、そのたびに50万円近い罰金が待つ。
18日の国際面によると、36歳のイラン系移民の地方議員が法規制を呼びかけて実現した。学生時代、食べるのに困った経験から食料廃棄に疑問を持ったという。日本でも、まだ食べられるのに流通段階や飲食店、家庭で毎年約500万〜800万トンが捨てられている。
こんな風潮を改めるため、消費者庁は「食品ロス削減国民運動」を進め、独自に取り組む自治体もある。福井県は10年前から「おいしいふくい食べきり運動」を展開する。レストランなど1000店以上が小盛りのメニューを用意したり、持ち帰り用の容器を提供したりしている。
宴会での完食を訴えるのは福岡市だ。「こんなに料理を残したまま、もう二次会か?」と、こわもてがにらみつけるポスターを作った。宴会の幹事に「終了の10分前になったら『席に戻って料理を食べよう』と声かけを」と呼びかけている。
とはいえ、まだまだ大きなうねりとはなっていない。フランスで法制化を進めた彼は言う。「日本は第二次世界大戦で飢えを経験し、食べ物の貴さを理解している。きっと現状を変えられるはずだ」と。そうだ、「もったいない」の考えを生んだ国ではないか。やれることはたくさんある。

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