小堀の渡し船着き場 映画「レミングス」の夏

100年の歴史の風情今も 茨城・取手市 小堀の渡し船着き場 映画「レミングス」の夏

産経新聞 20160806

 「小堀」と書いて「おおほり」と読む。場所は茨城県取手市。水害を防ぐため、明治40年から大正9年にかけて、今より大きく蛇行していた利根川の改修工事が行われ、この地域は川を挟んで分断された。

 生活に不便をきたした地域住民は、工事完了に先立つ大正3年、移動手段を確保するため、渡し船の運航をスタートさせた。これが「小堀の渡し」の始まりとされる。

 利用者のピークは昭和30年ごろ。年間で延べ7万5千人超だったとか。ただ、平成11年に循環バスが登場してからは「主役の座」を奪われる。

 運航開始から100年を超え、今では観光船として風情を受け継いでいる。27年4月~今年3月の利用者数は延べ3360人だそうだ。市が運営し、利根川の両岸に設けた3地点の船着き場を巡航している。

 「小堀の渡し」の船着き場の一つ、取手緑地運動公園の近くで、取手市を舞台にした映画「レミングスの夏」のロケが行われた。利根川の河川敷を利用した運動公園は、テニスや野球などさまざまなスポーツが楽しめる。

 船が発着しているのは、公園駐車場から歩いてすぐの場所だった。所々に「小堀の渡し」と書かれたのぼりが掲げられている。さらに近づくと、水色の法被を着た男性が船から降りて「乗りますか」とたずねてきた。

 「レミングスの夏」のロケ地を取材していると説明すると、男性は「ああ」と声を出して表情を明るくした。話を聞こうと思ったが、男性は「もう時間なので。船を出します」ときびすを返し、船に乗り込んでいった。

 ロケ地を訪れたときにはまだ、気象庁からの梅雨明け宣言はない。7月も終わるというのに空はどんよりとし、夏とは無縁の様相だった。
【ロケ地巡りの旅】
100年の歴史の風情今も 茨城・取手市 小堀の渡し船着き場 映画「レミングス」の夏

 あらすじ 幼いころに仲間を失い、心にぬぐえない傷を負った少年ら。自分たちを「レミングス」と名付け、楽しかったあの日を取り戻すために戦いを挑む。現在と4年前の夏が交錯しながら、物語は進んでいく。友情、信頼、正義…。本当に大切なものとは。「襲名犯」で第59回江戸川乱歩賞を受賞した茨城県取手市在住の作家、竹吉優輔さんの同名小説を映画化。レミングスのリーダー、ナギを演じるのは兄弟お笑いコンビ「まえだまえだ」の弟で俳優の前田旺志郎さん(15)。五藤利弘監督作品。来年の公開を予定している。

 アクセス 茨城県取手市東1の取手緑地運動公園近く。車の場合は、常磐自動道谷和原インターチェンジから国道294号を経由して約30分。同公園に駐車場あり。小堀の渡しは水曜運休。問い合わせは、取手市水とみどりの課(電)0297・74・2141。

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