女の気持ち 生前整理

女の気持ち 生前整理 

毎日新聞2017年2月8日 

 日本老年学会によると、65歳の私はまだ「准高齢者」だそうだが、友人との食事会の際には、はやりの「終活」をよく話題にする。「まだそんな年じゃない」「考えたら余計老けるよ」と冷やかされても、元気なうちにこそ考えたいと思うのだ。

 「生前整理」という言葉もよく聞くようになった。死後、家族が遺品の片付けで苦労しないよう、身の回りのものを整理整頓しておくことだ。

 独居になった伯母は今施設に入居しているが、その家はものというもので雑然とし、娘であるいとこたちも何をどこに片付けていいか分からない状態だった。伯母は体力、気力が減退し、腰痛や膝痛を抱え、大きなものを動かせない。貧乏性、よく言えばもったいない精神の持ち主で、ものをむやみに捨てられなかったのだろう。そんな実家を心配しつつ、離れて暮らすいとこたちは結局、専門の業者に整理を依頼したという。

 伯母を見るにつけ、快適な老後を過ごすためにも、気力、体力のあるうちに生前整理を始めようと真剣に思う。私も腰が時折痛くなり、ウオーキングにも支障をきたすことがままあるのだ。

 そこで、「自分にとって何が本当に大切なものかを知る」「必要なものを極力絞り、捨てるか残すか厳しく判断する」「もったいないと思っても、ため込まない」を肝に銘じたい。片付けられた心地よい環境で、平穏な生活を送りたいと切に思う。生前整理は他人ではなく、自分でやるしかないのだから。

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