毎日フォーラム・議員提案
結城繁・茨城県取手市議
2017年8月10日 毎日フォーラム
議会事務局と一体となって議会改革に取り組む
取手市が12年前に隣の藤代町と合併したことを契機に、市議会は地方分権を進めるため二元代表制の一翼である議会改革に取り組んできました。
まず、市民への市政理解と議会の信用向上のため、議長選挙では、投票前に立候補者が所信を表明して投票するよう変更しました。さらに電子表決システムの導入、一般質問の方式を一括方式から一問一答に変更。執行機関への反問権の付与、議会報告会の開催等々、多岐にわたる提案事項について議論を重ね、改革を進めてきました。
その結果を踏まえて制定した議会基本条例に基づき議会運営に努めています。この努力の結果、早稲田大学マニュフェスト研究会の議会改革度ランキングでは常に上位にランキングされるようになりました。
しかし、議会改革にはゴールはありません。最近、新たな取り組みとして、議会事務局からの提案を議会運営委員会で協議し、市内中学校3年生と市議会の合同企画として「議会を知り・未来を語る」を開催しました。
学校としては社会科公民授業の一環ですが、議会としては、選挙投票年齢が18歳からとなったこともあり、中学生時代から自らが生活している市の議会に関心を持ってもらう狙いがあります。生徒による議長選挙、そして「商業施設をつくり税収増」「空き店舗活用・電車の運行時間外にバス運行2020年までに」などの具体的な提案が発表されました。
提案を生徒が電子表決システムで議決して議長に提出し、議長から執行機関に届けました。中学生が取手市の未来について真剣に考え、しっかりとした意見を持っていることがわかり頼もしく思いました。
次に、ありそうでなかった取り組みとして「新採職員と議会議員の意見交換」です。これは議員全員協議会として位置づけました。「取手市の将来像」をテーマに、ワールドカフェ方式(対話による課題抽出)を用いた意見交換を行いました。
22人の議員と26人の新規採用職員の計48人が8グループに分かれて対話を行い、新規採用職員からはフレッシュで熱意のこもった意見と、議員の知識と経験を踏まえた意見が次々と出され双方に有意義でした。
取手市議会では議員全員協議会を正式会議にしていますので発言は全文記録に残ります。何年か経過して職員の皆さんがその時の自分の意見を議事録で確認し初心を思い出すことができます。
この取り組みは毎年、継続して行う予定になっています。数年後、その時の新採職員と今年入庁した職員、そして議員の3者で同様の事業を行うことができれば、より中身の濃い事業に進化していくと考えて実施しました。
取手市議会ではこのように、多様な機会を利用して情報発信していくことや、市民と議員の対話を通して課題解決、政策立案につなげていくことを目指しています。これからも議会と議会事務局が一体となって試行錯誤を繰り返しながら、このような動きを止めず常に市民の意見に耳を傾けていける議会改革を行っていきたいと思っています。
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