ボートピア建設計画を巡り

競艇の場外舟券売り場巡り 取手市議会、質問認めず

毎日新聞2018年9月8日

「街づくりに関わる」「既に計画撤回」
取手市議会が現在開会中の9月定例会で、市内で持ち上がった競艇の場外舟券売り場(ボートピア)建設計画に関する市議3人の一般質問を認めなかったことが分かった。「業者が計画を断念し、市政に関係なくなった」との理由だが、3市議は「街づくりに関わるのにおかしい」と反発。地方自治の専門家も「市政を狭く捉え質問を封じるのは、議会自ら首を絞めるようなものだ」と批判している。

ボートピア建設計画は、同市小浮気を予定地として、事業者が6月に説明会を数回開催した。6月定例会でも、道路や住宅地への影響を尋ねる一般質問があり、市の担当部長は「事業者が住民と接触しているようだが、具体的な計画は把握していない。設置の話が進んだ場合には地域への影響を考慮して(市長の)同意の是非を判断する必要性が生じる」と答弁した。

9月定例会は3日に開会。今回は3市議を含めて17人が質問を求め、先月28日に議運の了承を受け、入江洋一議長が許可した。

ところが一般質問2日目の4日、事業者から地元自治会長に出したとされる計画断念の文書を市が市議会に提出し、事態は一変した。入江議長は同日午後、一般質問を中断し、議運の開催を決めた。

議運には委員の市議8人のほか、入江議長と質問を予定していた3市議も出席。「市は一切関与していない。答えようがない質問は無意味だ」「市民の不安をあおるだけだ」などと、質問の撤回を求める意見が相次いだ一方、「地域を巻き込んで一騒動あったのは間違いない。市政に1%でも関係があれば制限すべきではない」との主張もあった。

3市議も反論した。小池悦子市議(共産)は「計画実現には市長の同意が必要。市の対応を引き出したい」と話した。ギャンブル依存症対策の関係で質問を求める声も出た。

しかし約1時間にわたる議論の後、賛成多数で質問を認めないと採決。入江議長が認めないと決定した。3市議は3~6日、ボートピア関連を除いて一般質問を行った。

毎日新聞の取材に対して、3市議の一人である池田慈市議(無所属)は「ボートピア計画は住民の関心が高く、不安に感じている市民も多い。計画が本当に中止になったのか疑問だ。質問を封じられたのは納得できない」と話した。

一方、認めなかった理由について、入江議長は「議運の結果を重んじた。民間で勝手にやっていたもので、既に計画を撤回した。あまり幅広くすると執行部が答えられない」と語った。

専門家「議会自ら首絞める」と苦言
地方自治法では、地方議員の質問権に関する直接の規定はない。同市議会の会議規則は「市の一般事務について、議長の許可を得て質問することができる」と規定している。一般質問は本会議場で行われ、インターネット上で中継されるほか、会議録もすべて公開される。

今回の市議会の判断について、地方自治に詳しい新藤宗幸千葉大名誉教授(行政学)は「地方自治体の一般事務は、例えば市長公用車の使い方から生活保護まで幅広い。場外舟券売り場の問題も市の将来に関わるので、首長に考えをただすのは極めてまっとうだ」としたうえで、「議員はそれぞれが市民の代表として独立し、対等だ。地方自治法に規定がなくても言論の自由は民主主義の根本原理。公の場での質問を封殺するのは良くない。議会自ら首を絞めることにつながりかねない」と苦言を呈した。

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