日本のウユニ塩湖

view SNSで発信、瀬戸内の水鏡 香川県三豊市 父母ケ浜

産経新聞日曜版 20180916

刻々と色を変える天空が鏡のような潮だまりに映る。瀬戸内海に沈む夕日がつくり出す絶景に、感嘆の声が上がった。
香川県三豊市の父母ケ浜は遠浅で干潮時にいくつも潮だまりが出現する。風がない夕方には、「インスタ映えする写真が撮れる」と話題となり、国内外から観光客が急増している。
2年前、同市観光協会の写真コンテストに、水面に映る夕空と2
人の少年の写真が届いた。この写真に触発された職員が「観光の目玉にしよう」と考えたのがきっかけになった。
昨年4月にはSNSに撮影方法や潮見表などを掲載すると、アクセス数は数日で4万を超えた。旅行雑誌に南米ボリビアの絶景になぞらえて「日本のウユニ塩湖」と広告を掲載すると、テレビでも放送され、話題となった。
内外の観光客を誘致しようと、昨年発足した同市観光交流局の石井紫さん(36)は「故郷の誰も見向きもしない場所に、多くの人が集まるようになった。それが何よりうれしい」と話す。
今年7、8月の2カ月間で父母ケ浜には海水浴客以外に約5万人が訪れた。台湾、香港、韓国など海外からも人が集まり、「四国を代表する観光スポット」になった。
石井さんは「この1年間の劇的な変化には、SNSの発信力の大きさを改めて感じる」と驚きを隠さない。
日が傾くころ、傘や風船など思い思いの撮影小道具を手に、多くの人が海岸に集まってくる。地球の裏側まで行かなくても、足元に絶景が広がっている。

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