断捨離でごきげんな毎日を

断捨離でごきげんな毎日を 捨てることへの抵抗 やましたひでこ
毎日新聞 日曜クラブ 2019年10月27日

 使わなくなった道具でも、着なくなった服でも、読まなくなった本でも、つまり、まったく必要がなくなったモノたちであっても、捨てることには抵抗がつきまとうもの。それはそうですね。だって、そのモノは使おうと思えばまだまだ使えるのですから。けれど、それらは、二度と使われることなく、そこに置かれたままの運命をたどることになるのです。なぜなら、それらのモノたちは、自分には必要がないモノとなってしまっているのだから。

 でも、自分が必要としなくなったモノたちに対して、私たちはこんな期待を抱きます。もしかして「何か」に使えるかもしれない。もしかして「いつか」使うことがあるかもしれない。もしかして「どこか」で使うことがあるかもしれない。もしかして「誰か」が使うかもしれない。

 そう、この「もしかして」のループにはまると、そのモノたちには、無限の「使える」可能性が見えてくる。そして、たどり着く結論はこれ。使えるモノを捨てるなんて、もったいない。使えるモノを捨てるなんて、とんでもない。

 つまり、捨てる行為に対して、後ろめたさを覚えるのです。その後ろめたさを味わいたくないばかりに、モノたちはずっとそこに置かれたままになるのです。

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