上沼さんに感謝 茨城県取手市・下村圭子
毎日新聞2019年12月27日
「更年期障害乗り越えました!」。先日、テレビの「M―1グランプリ」冒頭で上沼恵美子さんが宣言する姿を見て、思わず拍手喝采してしまった。同時に心の底におりのようにたまっていた気持ちが、スッとなくなっていくのを感じた。
上沼さんに対する昨年の暴言騒動は、更年期障害に苦しんでいた私にも衝撃を与えた。私は今まで難なく乗り越えてきたものに対してジタバタするような日々に戸惑っていた。突然のぼせたり、めまいや吐き気に襲われたり。動悸(どうき)がおさまらず眠れない夜が続いていた。更年期障害が影響したうつ病だった。
今年の夏の記憶がない。3カ月、ただひたすら寝ていた。家事は何とかこなしていたが、何をどうやってこなしたのか覚えていない。どうやって生きていたのか覚えていない。
仕事を辞めるのは大変だった。ただでさえ人手不足なのに、職場にしたら迷惑この上ない。「更年期障害を理由に辞めるなんて聞いたことがない」「女性なら誰にでもある。我慢できないのはおかしい」「医者の言うことを真に受けて従うのはどうなのか」。さまざまな叱咤(しった)激励を受けたが、私の心はとっくに限界だった。更年期障害に対する誤解と偏見に散々苦しめられたが、夫の「無理するな」の一言にすがり退職を押し通した。
冬を迎え、元の自分を取り戻しつつあったころに上沼さんの一言を聞いた。久しぶりに爽快な気持ちになれた。自宅療養は続きそうだが、気持ちの切り替えができたことに感謝したい。