取手市議会広報誌、ウェブ版に

取手市議会広報誌、ウェブ版に 高齢者ら存続請願も、不採択 財政厳しく「苦渋の決断」 
毎日新聞2020年3月20日

 取手市議会は50年間発行した広報誌「ひびき」を3月1日付で終刊とし、インターネットのウェブ版に切り替える。これに対し、一部の市民が「ネットを使わない高齢者の知る権利を奪い、情報弱者を生む」と存続を求める請願書を提出。市議会は18日、「紙媒体のコストは財政的に厳しい」などの理由で不採択とした。【安味伸一】

 議会広報誌は市制施行の1970年創刊。主として年4回の定例市議会の審議内容などを紹介してきた。1日付の第232号は、2月に改選された全議員の顔写真と抱負を紹介。前号には、定例市議会での議案への賛否、一般質問とその答弁などが掲載されている。

 タブロイド判で通常は10ページ。約3万8000部を新聞の折り込みで各戸に配達していたほか、公共施設などに置いていた。外注の印刷費や折り込み料で年間約370万円かかったという。

 請願書を提出した同市白山の神原礼二さん(79)は議会運営委員会で「高齢者は主権者。議会は民主主義の象徴であり、コストの合理性だけで判断すると民主主義は窒息してしまう」と紙媒体の存続を訴えた。

 結城繁副議長は「財政が厳しく、議会費の枠の中で苦渋の選択だった」と発言。赤羽直一委員も「どれかを削らなければならない。苦渋の決断」と説明した。

 市議会は2020年度から「ひびき」に代わって、A3判(表裏2ページ)の議会だより概要版を年4回、発行する予定だ。ただ、議会事務局の担当者は「ひびきに掲載されていた一般質問と答弁、議案への賛否をすべて載せることは難しい」としている。

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