女帝

毎日新聞 20200725

クローズアップ

国会は「読書の府」? 閣僚経験者や現職副大臣……少なくとも10人
毎日新聞2020年7月25日 東京朝刊

 

スパイ・推理小説 落語まくら特選 「女帝 小池百合子」 ワニ動画問題の後、調べてみました

国会の審議中に、議員が娯楽小説を読んだり、スマートフォンで趣味のウェブサイトを閲覧したりする行為が横行している。毎日新聞が新型コロナウイルス対策の審議など国民の関心の高かった5、6月の本会議や各委員会で調査したところ、こうした行為を少なくとも10件確認した。国会は規則で議事と無関係な書籍などを読む行為を禁じており、識者は「言論の府である国会を空洞化させる行為だ」と問題視している。

衆院沖縄及び北方問題に関する特別委員会中に「女帝 小池百合子」を約2時間読んだ井野俊郎議員。途中、ページを開いたまま同じ姿勢をとり続けた=2020年6月18日、大場弘行撮影
毎日新聞は、黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年延長問題で注目された5月13日の検察庁法改正案の審議中に、平井卓也・前科学技術担当相(自民)がタブレットでワニの動画を約5分閲覧している様子や、大西宏幸議員(同)が戦記小説を堂々と読んでいる様子を確認して報道した。この後、衆参の本会議や各委員会を任意に選び、同様の行為がないか傍聴席から調べた。

調査の結果、自民党の衆参議員7人と立憲民主党の衆院議員1人の計8人が議事とは明らかに無関係な小説やスマホ画面などを閲覧していたことが判明した。

衆院では、義家弘介副法相(同)がコロナ対策のため過去最大の補正予算が審議された本会議でスパイミステリー小説「戦場のアリス」を熟読。採決の瞬間に慌てて本を閉じて立ち上がった。

今村雅弘・元復興相(同)は「水戸黄門光圀卿示家臣条令」など武家や皇族の家訓を掲載した「家訓集」を読みふけっていた。コロナに備える研究支援や科学技術振興も議題となった委員会の最中だった。

野田聖子・元総務相(同)は、コロナ対策のための10兆円の予備費の在り方が論点となった委員会で小池百合子・東京都知事の半生を描き話題のノンフィクション「女帝 小池百合子」を机の下に隠しながら熱心に読んでいた。井野俊郎議員(同)も同書をコロナの影響で落ち込む沖縄の観光振興も論じられた委員会で約2時間、読み続けた。

福山守議員(同)は、福島第1原発の汚染水処理など原発政策を審議する委員会で西村京太郎氏のトラベルミステリー小説「宮古行『快速リアス』殺人事件」、吉川赳議員(同)はコロナの影響に苦しむ中小企業支援策が焦点となった委員会で「五代目三遊亭円楽 特選飛切(とびきり)まくら集」のページを広げていた。吉川氏は読書の合間にスマホで自転車の通販サイトなども閲覧していた。

参院では、岡田広・元副内閣相(同)が、就職活動中の学生のデータが企業に販売された「リクナビ」問題を踏まえた個人情報保護法改正案の審議中、サスペンス小説「生贄(いけにえ) 私刑執行人」を周囲の目を気にしながら読んでいた。

野党では、山崎誠衆院議員(立憲民主)が、東日本大震災の被災地の復興支援を審議する委員会で30分以上、スマホを操作。同僚議員らの質疑中に「軽自動車の販売サイト」を閲覧したり、サントリー社の健康商品(セサミンなど)を無料で試せるモニター登録をしたりしていた。

「本が好き」歯切れ悪く
毎日新聞は、議事に無関係とみられる小説やスマホ画面を閲覧していたことが新たに判明した8議員に書面で見解を求めた。

トラベルミステリー小説を読んだ福山氏のみが対面取材に応じ「本が好きで、つい読んでしまいました。(国民に)本当に申し訳ない。もう二度としません」と深々と頭を下げた。

スパイミステリー小説を読んでいた義家副法相は書面で「ご指摘や誤解を受けることがないよう、職務に精励してまいります」とだけ答えた。野田元総務相は「女帝」を読んだ理由について「書籍内に自身に関する記載、そして極めて政治的な書籍と聞いておりましたので内容を確認いたしました。以後、気を付けます」と説明している。

落語の特選まくら集を読んだ吉川氏は書面で「地元での会合などにおけるスピーチの参考にするため閲読いたしました」と回答。スマホで自転車通販サイトを閲覧したことは「コロナ禍で更なる自転車の活用推進がうたわれる昨今であることから関連サイトを閲覧いたしました」としつつ、いずれの行為も「議事進行中であったことに鑑み、猛省しております」とした。

スマホで健康商品のモニター登録をした山崎氏は「軽率であったと反省しております。今後、このような行動をとらぬよう、緊張感を持って自らを律して議員活動に専念してまいります」とコメントした。

今村、岡田、井野の3議員からは期限までに回答がなかった。

規則で禁止 スマホは黙認
国会審議に議員が娯楽小説などを読む行為は、衆参両院の各規則によって禁じられている。衆議院規則では215条で「議事中は参考のためにするものを除いては閲読してはならない」と規定。参議院規則にも211条で「何人も、参考のためにするものの外は、議事中、閲読してはならない」と同様に規定している。逆に議事の参考になる新聞などの閲覧は認められ、審議中にこうした参考資料を熱心に読む議員もいる。

スマホの使用については、両院の規則に規定はないものの、衆院では1996年の各党の申し合わせで「携帯電話の使用は禁止する。持ち込みについても、音が発しないように機能を停止する」とされている。ただ、スマホのない時代の取り決めのため、禁止されているのは「通話」と解釈され、審議中に音の出ない状態でウェブサイトを閲覧したり、メールや通信アプリを使ったりする議員が続出している。

参院では95年の各党の申し合わせで「携帯電話の持ち込み」自体を禁じている。このため、審議中にスマホを見る議員は衆院と比べて少ないものの、それでもスマホを机の下に隠して見ている議員の姿は散見される。スマホいじりは、事実上黙認されている状態だ。

国会改革 やはり必要
元参院事務局職員の武蔵勝宏・同志社大教授(政治学)の話 審議の中身が空洞化してしまう大きな問題だ。構造的な問題もある。議員数は与党の方が多いのに、野党の方に質疑時間が多く割り当てられることがある。これは自民党と社会党が対峙(たいじ)した「55年体制」が1970年代になってなれ合いに変わる中で定着した慣習だ。自民議員の多くは質問の機会もないから勉強もしない。近年はスマホの登場でモラル崩壊に拍車がかかっているのだろう。委員会成立に必要な定足数を減らして真剣に議論に参加できる議員だけに絞るなど、さまざまな取り組みを検討すべきで、国会改革を進める必要がある。


 

取手図書館に新刊本の希望をしておいた。

女帝 小池百合子 石井妙子著

2日間で読み終えた。

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2日遅れて借りることができた新刊本

死という最後の未来 石原慎太郎&曽野綾子著

2020-07-25 17.10.45

この本に至っては

栞紐(スピン)が、新刊本のように見える。

2020-07-25 19.40.36

こんなマンガ本も我が家に届いた。

80歳の家出まり子さんの次なる行動は?

20200723

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