Dr.中川のがんの時代を暮らす

Dr.中川のがんの時代を暮らす:/24 食品での被ばくは微量
食品に含まれる放射性セシウムの基準が今年4月から大幅に厳しくなります。現在運用されている「暫定規制値」は、東京電力福島第1原発事故直後に定められたもので、食品に含まれる放射性セシウムによる内部被ばくを年間5ミリシーベルト以内にすることを目標としています。新しい基準は、これを1ミリシーベルトと5分の1に引き下げることを目指します。その結果、野菜、肉、魚などの一般食品では、現在の1キロあたり500ベクレルの上限値が、5分の1の100ベクレルに引き下げられます。
この数字は米国の基準の12分の1という厳しい値ですが、牛乳や乳児用食品はさらに少ない1キロ50ベクレルとなります。飲料水は10ベクレルと、欧州連合(EU)の20分の1、米国と比べれば120分の1となります。
一方、食品による内部被ばくが実際にはわずかであることが分かってきました。朝日新聞は1月19日朝刊で、福島と全国の家庭で、「陰膳」方式で、食べ物に含まれる放射性セシウムの量とそれによる内部被ばく量を調査した結果を報じています。食卓に並べたものと同じ食事を1食分余計に作ってもらい、3食分をまるごとミキサーにかけた上で乾燥させ、精密に測定したのです。
3食分の検出値を順に並べた真ん中の値(中央値)は、福島県で4・01ベクレル、関東地方で0・35ベクレル、西日本ではほぼゼロと、予想通りとはいえ、非常に低い数字となりました。福島県の4ベクレルは核実験が盛んだった50年前の食品中の放射能レベルに近い数字です。
福島での食事を毎日1年間食べ続けた場合の被ばく量は、中央値で0・023ミリシーベルトにとどまり、国の新基準の40分の1以下です。ホウレンソウなどに含まれる天然の放射性物質であるカリウム40による内部被ばくと比べても、その10分の1程度ですから、健康に影響が出る量ではありません。
食品からの内部被ばくは現在でも非常にわずかですから、新基準に変えても、被ばく量の減少は微量です。しかし、基準を厳格にすることで、福島の生産者は大打撃を受ける可能性があります。福島は、電力と食品の生産地として、東京と日本全体を支えてきました。今後は、東京をはじめ全国が、福島を支える番ではないかと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:23 遺体の永久保存
北朝鮮の朝鮮労働党政治局は12日、金正日総書記の遺体を、父親の故金日成主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山(クムスサン)記念宮殿に、「生前の姿で」永久保存すると発表しました。
ロシア革命の指導者レーニンの遺体は、現在もモスクワのレーニン廟(びょう)で、生前の姿のまま「展示」されています。中国の毛沢東やベトナムのホー・チ・ミンも同様です。ただし、親子2代で遺体が永久保存された例は聞いたことがありません。
私たちの身体は約60兆個の細胞からできています。そして腸の中には、100兆個ともいわれる膨大な数の細菌が「感染」しています。しかし、免疫の働きによって、生きている間は人体と細菌は「共生関係」にあり、身体が「腐る」ことはありません。しかし、死亡すると免疫の働きが失われ、死後1時間くらいすると、細菌が増殖し始め、遺体は腐っていきます。腐敗を「穢(けが)れ」と忌み嫌う日本人が、葬儀後早々に火葬をする理由の一つです。
ところが、遺体の腐敗を恐れる結果、死者に別れを告げる葬儀が慌ただしいものになってしまうという問題もあります。このため、欧米の国々では「エンバーミング」という遺体処置の方法が普及しています。キリスト教では、死者は「最後の審判」の日によみがえるという教義を持つため、遺体は重視され、「生前の姿」で土葬されるのが普通です。
エンバーミングは、古代エジプトのミイラ作りに起源をもつ遺体の防腐処置で、動脈から体内に防腐剤を注入します。これによって、2週間程度までは常温での保存が可能になります。
さらに、もっと徹底した処理を行えば保存可能な期間をさらに延ばすこともできますし、防腐剤の交換など、定期的なメンテナンスを行えば、半永久的な保存も可能になります。北朝鮮の「永久保存」も、レーニンや毛沢東らの遺体の処置をしたロシアのチームが担当している模様です。
しかし、初期の防腐処理だけで約100万ドル(約7700万円)、その後の維持に毎年80万ドル(約6200万円)もかかるといわれています。金親子は死後も北朝鮮国民にツケを回していることになります。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:24 食品での被ばくは微量

食品に含まれる放射性セシウムの基準が今年4月から大幅に厳しくなります。現在運用されている「暫定規制値」は、東京電力福島第1原発事故直後に定められたもので、食品に含まれる放射性セシウムによる内部被ばくを年間5ミリシーベルト以内にすることを目標としています。新しい基準は、これを1ミリシーベルトと5分の1に引き下げることを目指します。その結果、野菜、肉、魚などの一般食品では、現在の1キロあたり500ベクレルの上限値が、5分の1の100ベクレルに引き下げられます。

この数字は米国の基準の12分の1という厳しい値ですが、牛乳や乳児用食品はさらに少ない1キロ50ベクレルとなります。飲料水は10ベクレルと、欧州連合(EU)の20分の1、米国と比べれば120分の1となります。

一方、食品による内部被ばくが実際にはわずかであることが分かってきました。朝日新聞は1月19日朝刊で、福島と全国の家庭で、「陰膳」方式で、食べ物に含まれる放射性セシウムの量とそれによる内部被ばく量を調査した結果を報じています。食卓に並べたものと同じ食事を1食分余計に作ってもらい、3食分をまるごとミキサーにかけた上で乾燥させ、精密に測定したのです。

3食分の検出値を順に並べた真ん中の値(中央値)は、福島県で4・01ベクレル、関東地方で0・35ベクレル、西日本ではほぼゼロと、予想通りとはいえ、非常に低い数字となりました。福島県の4ベクレルは核実験が盛んだった50年前の食品中の放射能レベルに近い数字です。

福島での食事を毎日1年間食べ続けた場合の被ばく量は、中央値で0・023ミリシーベルトにとどまり、国の新基準の40分の1以下です。ホウレンソウなどに含まれる天然の放射性物質であるカリウム40による内部被ばくと比べても、その10分の1程度ですから、健康に影響が出る量ではありません。

食品からの内部被ばくは現在でも非常にわずかですから、新基準に変えても、被ばく量の減少は微量です。しかし、基準を厳格にすることで、福島の生産者は大打撃を受ける可能性があります。福島は、電力と食品の生産地として、東京と日本全体を支えてきました。今後は、東京をはじめ全国が、福島を支える番ではないかと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:23 遺体の永久保存

北朝鮮の朝鮮労働党政治局は12日、金正日総書記の遺体を、父親の故金日成主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山(クムスサン)記念宮殿に、「生前の姿で」永久保存すると発表しました。

ロシア革命の指導者レーニンの遺体は、現在もモスクワのレーニン廟(びょう)で、生前の姿のまま「展示」されています。中国の毛沢東やベトナムのホー・チ・ミンも同様です。ただし、親子2代で遺体が永久保存された例は聞いたことがありません。

私たちの身体は約60兆個の細胞からできています。そして腸の中には、100兆個ともいわれる膨大な数の細菌が「感染」しています。しかし、免疫の働きによって、生きている間は人体と細菌は「共生関係」にあり、身体が「腐る」ことはありません。しかし、死亡すると免疫の働きが失われ、死後1時間くらいすると、細菌が増殖し始め、遺体は腐っていきます。腐敗を「穢(けが)れ」と忌み嫌う日本人が、葬儀後早々に火葬をする理由の一つです。

ところが、遺体の腐敗を恐れる結果、死者に別れを告げる葬儀が慌ただしいものになってしまうという問題もあります。このため、欧米の国々では「エンバーミング」という遺体処置の方法が普及しています。キリスト教では、死者は「最後の審判」の日によみがえるという教義を持つため、遺体は重視され、「生前の姿」で土葬されるのが普通です。

エンバーミングは、古代エジプトのミイラ作りに起源をもつ遺体の防腐処置で、動脈から体内に防腐剤を注入します。これによって、2週間程度までは常温での保存が可能になります。

さらに、もっと徹底した処理を行えば保存可能な期間をさらに延ばすこともできますし、防腐剤の交換など、定期的なメンテナンスを行えば、半永久的な保存も可能になります。北朝鮮の「永久保存」も、レーニンや毛沢東らの遺体の処置をしたロシアのチームが担当している模様です。

しかし、初期の防腐処理だけで約100万ドル(約7700万円)、その後の維持に毎年80万ドル(約6200万円)もかかるといわれています。金親子は死後も北朝鮮国民にツケを回していることになります。

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