心は生きている 東京都品川区・左合美津(自営業・62歳)
息子が勤務先から黄色の小さな花束を持って帰ってきました。3年前に小学校の教員になり、初めて6年生を送るお別れ会でもらった花束です。仏壇に供えると、57歳で亡くなった夫が写真の中でほほ笑んでいます。
夫は、息子が教壇に立つ姿を見ずに5年前に心不全で急死。途方に暮れましたが、息子は何回かの挑戦で、東京都の教員に採用されました。
夫は物知りで、子どもたちが小さいころから、いろいろなことを教えていました。
チョウ好きが高じて登山が趣味となり、息子が3歳になると、家族で行くようになりました。毎年夏の登山は12年間続き、子どもたちに体力がつくと、3000メートル級の山にも何回か登りました。
山へ行く途中に、天候の見方、植物や昆虫の名前、山でのマナー、地図の読み方などをどんどん教えます。ほかにも、平家物語の暗唱、百人一首といろいろです。
息子は今では父親から受け継いだ知識を小出しにしながら、学校の授業に役立てているようです。
朝、花の水を取り換えながら思いました。命や思いを引き継ぐって、こういうことなのかしらね。夫の心は生きていると、5年たってようやく感じることができました。
娘や息子に私の命も引き継いでもらえるように、しっかり生きていかなければと思っています。
写真の横に飾られた黄色の花が、ポッと明るさを増しています。
心は生きている ~毎日新聞女の気持ち20120325~
息子が勤務先から黄色の小さな花束を持って帰ってきました。3年前に小学校の教員になり、初めて6年生を送るお別れ会でもらった花束です。仏壇に供えると、57歳で亡くなった夫が写真の中でほほ笑んでいます。
夫は、息子が教壇に立つ姿を見ずに5年前に心不全で急死。途方に暮れましたが、息子は何回かの挑戦で、東京都の教員に採用されました。
夫は物知りで、子どもたちが小さいころから、いろいろなことを教えていました。
チョウ好きが高じて登山が趣味となり、息子が3歳になると、家族で行くようになりました。毎年夏の登山は12年間続き、子どもたちに体力がつくと、3000メートル級の山にも何回か登りました。
山へ行く途中に、天候の見方、植物や昆虫の名前、山でのマナー、地図の読み方などをどんどん教えます。ほかにも、平家物語の暗唱、百人一首といろいろです。
息子は今では父親から受け継いだ知識を小出しにしながら、学校の授業に役立てているようです。
朝、花の水を取り換えながら思いました。命や思いを引き継ぐって、こういうことなのかしらね。夫の心は生きていると、5年たってようやく感じることができました。
娘や息子に私の命も引き継いでもらえるように、しっかり生きていかなければと思っています。
写真の横に飾られた黄色の花が、ポッと明るさを増しています。
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ほっこりとした気持ちになる記事でした
ショコ・レ を楽しみながら・・・
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