地元の情報、手書きで発信 「手作りマップ」で旅人をおもてなし 産経新聞20140606
旅先で地元の人々が手作りした観光案内や手作りルートマップを目にすると、楽しくなる。
地元の人しか知らない、きめ細かな情報や手書きのイラストなど作り手の心が伝わり、見知らぬ土地での不安も和らぐ。
スマートフォン(高機能携帯電話)などで何でも調べられる時代だからこそ、目に見える人を介した情報がうれしい。
ホテルのサービス
長野県白馬村の白馬ハイランドホテル(フリーコール0120・898・153)は白馬村のタウンマップや飲食店マップ、
散策ルート、写真撮影スポットなど10種以上の手作りマップを宿泊客らに提供している。
作っているのは、もともと東京都内に本社を置く旅行社に勤務していた支配人の富岡真一郎さん(40)。
旅行社時代、ツアー客へ手作り観光案内などを渡すと、喜ばれた。
10年ほど前に同ホテルに入ってからは「フレンドリーなサービスを」「話をするきっかけに」などと考え、マップを作り始めた。
「頻繁に作り直せないので飲食店などは閉店している店もありますが、それもお客さまと話をするきっかけになる。ニーズがある限り、続けていきたい」
京都市南区のホテルセントノーム京都((電)075・682・8777)では、6年ほど前からフロントのスタッフが月に1度のペースで手作りマップを作成している。
折り紙や色鉛筆なども使い、アットホームな雰囲気が持ち味。
葵祭や祇園祭など季節の行事の見どころや見学スポットなどに加え、スタッフ自ら集めた情報を掲載している。
ガーデンマップも
こだわりの情報をテーマ別にピックアップする手作りマップもある。
白馬村では3年前に有志が集い、村内のオープンガーデンマップ「白馬花物語」の作成を始めた。
日本庭園やアジサイ、西洋式のコンテナ式庭園など、個人宅やホテル、ペンションなどで見学者を受け入れる庭の情報をまとめた。
毎年1万部を印刷し、観光案内所やホテルのフロントなどに配布している。
旅行客の評判も良く、19カ所だったオープンガーデンは参加が増え、24カ所になった。
監修した柴田謙二さんは「雨の日などの楽しみの一つとして、庭めぐりを楽しんでほしい」。
地元の情報、手書きで発信 「手作りマップ」で旅人をおもてなし
人の心をとらえる手作りマップ。
その理由について、東京都千代田区の旅行社「ティ・アイ・コンソーシア」の坂元美香子さん(55)は「手作りマップは心と時間に余裕がないと作れない。
作るときは思いをいっぱい込める。
その思いが伝わるからではないか」と話す。
坂元さんも5年前、会社のオフィスのある東京・市谷と大阪・肥後橋で、飲食店をピックアップした手作りマップ「乙女マップ」を作成したことがある。
市谷の「乙女マップ」では数カ月かけて食べ歩き、約100店を掲載。
「アジフライが最高!」「お昼は行列」など感想も書き込み、得意先にも配布した。
坂元さんは「手作りマップにはその土地、土地の顔が見える。
機会があれば、また作りたい」。
スマートフォンなどの普及で紙の地図を見ながら歩く人は少なくなった。
旅先では、やはり地図がよく似合う。
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