余録 地方に足を延ばすたびに感じるのは… 毎日新聞 20140901
地方に足を延ばすたびに感じるのは、その活気のなさ、衰退ぶりである。
駅前のシャッター街の多さ、街中の人の少なさに改めて驚かされる。
将来的には日本の市区町村の約半数が人口流出などにより消滅する可能性がある、との警告もむべなるかな、と思う。
そこで、政府がやろうとしているのが、「地方創生」なる新政策だ。
地方を元気にするため地域の雇用創出を中心とした総合戦略を構築しよう、というものだ。
来年の統一地方選対策という側面があるにしても、その大きな方向性は間違ってはいまい。
ただ、片山善博(かたやまよしひろ)慶大教授(元総務相)によると、自治体側は政府作成の政策パッケージを丸のみしないよう注意が必要だ、という。
過去に何回か似たような局面があり、結果として地方が痛い目にあってきたからだ。
例えば、バブル崩壊後、多くの自治体が地方交付税の大盤振る舞いという政府の甘言に乗り、身の丈を超えた公共事業を発注、その結果財政危機に追い込まれた。
平成の大合併では、合併特例債のアメに引かれ規模拡大を図ったものの、行政サービスの低下などの対価を払うことになった。
二度あることは三度ある。
しかも、事前に危機的データで警告し、自治体側の動揺を誘った上で国策に従わせる手法も、大合併時と同じとのことだ。
ではどうすればいいのか。
「自治体が自らの頭で考え抜くこと。その力が衰えている」。
片山氏の答えはシンプルだが、なるほどと思わせた。
国主導のお仕着せの時代よ、さらばである。
自治体が考える力を再生させ、個々の事情に合わせたオリジナルな創生を作り上げる時である。
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