茨城新聞 クロスアイ 20161111
利根川の堤防工事の際に歌われ、県指定無形民俗文化財にもなっている「利根地固め唄」を、利根町立文間小(浅野恵次校長)の児童が継承し、12日に開かれる同校のイベント「もんまっこまつり」で披露する。子どもたちは地元の利根地固め唄保存会の協力を得て取り組んでおり、本番に向けて練習に励んでいる。同会の若松充実行委員長(78)は「この子どもたちに、利根の伝統を受け継いでいってほしい」と話している。
「ならしなーよ ならせよだよ ソーレソラドッコイショ」
リハーサルが8日、同校体育館で行われ、児童の元気な声が響いた。4年生34人は9月から、総合的な学習の時間を利用して、地固め唄の練習を続けてきた。
本番の12日は、堤防ののり面を打ち固める「土羽(どは)打ち」、丸い石に綱をつけ、上下に動かして地面を固める「石だこ打ち」、くいを打ち付ける「杭(くい)打ち」の三つの作業に合わせた計9つの歌を披露する。
地固め唄の起源は江戸時代ごろまでさかのぼる。利根川堤防の補修工事の際、作業する人たちによって歌われたのが始まり。戦後まで伝わってきたが、工事が機械化されるに伴って次第に忘れ去られていった。
地元の有志らが1989年、「利根地固め唄保存会」を立ち上げた。2002年には県無形民俗文化財にも指定され、同会は現在、約30種類の地固め唄を受け継いでいるという。
同校は学校統合に伴って現在の文間小となった8年以来、児童が地固め唄を学んでいる。浅野校長は「この地域は利根川とともに発展してきた。(地固め唄は)歴史と文化の両方を子どもたちに伝承できる貴重な機会だ」と話す。
今回、地固め唄を披露する同校4年の小倉煌雅くん(10)は「歌詞とリズムを覚えるのが大変だったが、本番では胸を張って堂々と歌いたい」と意気込んでいる。
地固め唄は、12日午後1時半から同校で開かれる「もんまっこまつり」の午後の部で披露される。5年生の和太鼓やソーラン節、6年生の合奏・合唱も行われる。一般見学も可能だ。