4月に入学したばかりの1年生が、記念写真を撮影するため桜の前に集まってきた。光る笑顔に薄紅色の花が彩りを添えていた。
北海道東部のオホーツク海に面する別海町。町立野付小学校には日本一の大きさといわれるチシマザクラがある。
明治年頃、当時小学校3年生だった子供たちが対岸の野付半島から小舟で運び、現在の野付小学校に木を移植したと伝えられている。樹齢は100年を越え、高さ約6m、横幅約mまでに成長した。
同校の平尾晴美教諭()は「児童に『野付小学校の桜は日本一。ということは、世界一だよね?』と聞かれ、『そのとおりだよ』と答えると、教室に歓声が上がったんです」と笑顔を見せた。ひと目見ようと、海外からも観光客が訪れる桜に、児童は誇りを持っているという。
今月9日には日本で最も遅いとされる根室市で、標本木のチシマザクラの開花宣言があった。同じ日、野付小学校のチシマザクラも花を咲かせた。
1月に沖縄県から北上を始めた桜前線は、4カ月かけて、ようやく終着駅にたどり着いた。間もなく北海道に短い夏が訪れる。