取手でものづくりマップ制作へ

 
芸術家グループが魅力紹介  ~常陽新聞 2010.08.21~
 
東京芸大出身の取手市の芸術家グループ「第0研究室(ゼロ研)」(浅野純人代表)が、市内のものづくり現場を紹介する「取手工場見学マップ」作りに取り組んでいる。芸術作品を鑑賞する際、作家や専門家が解説を加えることで作品により大きな魅力を感じてもらえることから、芸術鑑賞時の働き掛けの手法を地域活性化に応用し、各工場のものづくりに対するこだわりなどをイラストや文章などで市民に紹介して、地域の魅力を再発見してもらおうという試みだという。
 マップは、すごろく形式とし、市内12カ所程度のものづくり現場を紹介する予定。芸大関係者と市民が、8月から来年2月まで、計3回に分けて、造り酒屋、漬け物店、豆腐店など12カ所程度を実際に見学し、ものづくりに対するそれぞれのこだわりなどを取材する。
 その上で、芸大関係者がものづくり現場をイラストなどで紹介するほか、市民が魅力を文章で紹介する構想だ。
 A2判かA3判の大きさのカラーで、折りたたみ式とし、市民がマップを見ながら市内を散策したり、家庭ですごろくゲームを楽しみながら地域の魅力を体感できる内容とする。
 完成は来年8月ごろの予定で、3万部程度を制作し、新聞折り込みなどで各家庭に配布する予定。制作費用は、これからねん出するという。
 20日は、工場見学の第1弾として、小学生から50代の一般市民と芸術家延べ42人が、造り酒屋、漬け物店、刃物店などを見学した。
 江戸時代初期の1655年創業の造り酒屋「田中酒造店」(同市取手、小川せいこ社長)では、酒造りの工程などについて説明を受けながら、蔵の中を実際に見て回り、メモをとったり、写真を撮るなどした。さらに、地元産のコメだけで日本酒を造っていることや、「特別な日に地元の人に買ってもらえる日本酒を作りたい」などのこだわりを持っていることを聞き出していた。
 同酒造の小川社長は「周りの人に見てもらうことは、自分自身を磨くきっかけにもなるので、ぜひマップを完成させてほしい」とし、ゼロ研の浅野代表は「『取手には何もない』と言う人もいるが、マップを通して身近にある魅力に気付いてくれれば」と話している。
 ゼロ研は、東京芸大大学院壁画研究室の学生(当時)ら3人が、アートプロジェクトを企画運営する非営利団体として2003年に設立した。

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