^ ^*のHappynews
義母のこと
母に初めて会ったのは、主人とのお見合いの席だった。きれいな言葉遣いと優しい笑顔に心が和み、私はこの人の息子さんならきっと良い人に違いないと確信を持った。
4人の息子たちに母が「親孝行はお嫁さんのお母さまに六分、私は四分でいいのよ」と言うのを聞いて、何と奥ゆかしい人だろうと思った。
体の弱かった父につつましく寄り添い、家業の薬局を手伝い、4人の子どもを育て、父が他界してからは、編み物や三味線を趣味として楽しんでいた。
90歳を過ぎてからも、毎年何枚ものセーターを編んでは、周りの人たちにプレゼントしてくれた。
最近は1冊のノートを手元に置き、スポーツや音楽などに分類して、テレビで見た米大リーグやゴルフ、駅伝、相撲などの情報を記録し、音楽の欄にはオペラのことなどを書いているという。
新聞もよく読み、好きな歴史小説を切り抜いてまとめたり、「数独」も楽しんでいる。どこまでも知的好奇心の衰えない母である。
兄夫婦と府中市にある2世帯住宅に住んでいるが、三度の食事はもとより、基本的に自分のことは自分でする。
手が痛くて包丁を持てなかったり、ひざが痛くて歩くのが不自由な時もあったが、いつもあきらめず、時間をかけて治している。
11月に白寿を迎える母は、私にとって、近づいてくる老後の大切なお手本である。