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多古新町ハウス

月曜日, 8月 25th, 2014

余録 高齢者のデイサービスの居室に野球帽が…

毎日新聞 20140824

高齢者のデイサービスの居室に野球帽が置いてあった。

千葉県多古(たこ)町にできた「多古新町ハウス」は高齢者や障害児のデイサービスを行う多機能型施設である。

そこに県立高校の野球部員が2人住んでいる。

「野球部の監督さんを慕って入学した生徒が下宿を探していたので、ちょうどいいかなと思って」。

ハウスを運営する社会福祉法人「福祉楽団」の飯田大輔(いいだ・だいすけ)サポートセンター長(36)は笑う。

高校とは目と鼻の先だ。

介護をするわけではなく、朝食を済ませると登校していくので、お年寄りとの接点がそうあるわけでもない。

ただ、なんとなく心を和ませるのは、多世代同居が普通だったころを思い出させるからかもしれない。

「災害などの時にはたぶん頼りになりますしね」

隣にある、しゃれたカフェを思わせる「寺子屋」も飯田さんが建てた。

近所の子どもたちに提供している。

「ここは涼しいので勉強ができる」。

日に焼けた女子中学生たちがクーラーの利いた室内で問題集を開いていた。

利用料は取らない。建設費だけでなく電気代も法人の負担だ。

勉強したい人をとことん応援しようと、24時間開放している。座った目線の高さに窓があり、隣のデイサービスが見渡せる。

いつも外の目が入る風通しの良さが、閉鎖的になりがちな福祉施設には必要だ。

開設間もないころ、近所の住人から苦情電話が入った。

「夜中に原付きバイクが止まっている。

不良のたまり場になっているのでは」。

慌ててとんでいったら、若者たちが公務員試験の勉強をしていた。

電話をした住人はすっかり感激して、今では寺子屋の応援団のような存在だという