認知症行方不明者
早期発見へ病院登録情報を活用 取手医師会と警察が連携
毎日新聞2017年2月1日
認知症の行方不明者をいち早く発見するため、取手市医師会は認知症高齢者の詳細な個人情報を事前登録する独自の仕組みを作った。取手署が家族などから捜索を依頼されたり、身元不明の患者を保護したりした場合、病院に登録された情報を活用する。従来は行方不明者の捜索などに医療機関の患者情報が使われることはなく、こうした連携は全国初という。
認知症高齢者が行方不明になった場合、徘徊(はいかい)して行動範囲が広がり、早期発見が難しくなるケースもある。中には死亡することもあるため、医師会として協力できないか検討してきた。
病院に登録されるのは、氏名、生年月日、住所、電話番号、身長や義歯の有無のほか、方言・話し方、ほくろの特徴など。顔と全身写真も保管される。本人や家族から同意を得られた場合のみ、医師自らが記載する。
当面、認知症の外来患者が多い「取手北相馬保健医療センター医師会病院」と「JAとりで総合医療センター」に限定する。情報を記した紙を複写して家族に渡し、捜索届け出の際はまずはそれを利用してもらう。見当たらない場合は病院が提供する。自分の氏名を言えないなど身元特定が困難な人を保護した場合にも、カードの蓄積が特定に役立つと期待される。
2月1日から運用を始める。医師会の真壁文敏会長は1月27日記者会見し「地域に根ざした取り組みのモデルケースとして近隣に広げていきたい」と説明した。取手署の藤崎克久署長は「効率よく捜索活動が展開できる」と期待する。
取手署によると、管内で昨年1年間に保護した人は279人で、このうち103人が認知症の高齢者だった。