女の気持ち:パソコン 静岡県磐田市・弓桁淑子(主婦・67歳)
毎日新聞 2013年07月17日 東京朝刊
私のおもちゃはパソコン。一日中動かしていても飽きない。
思えば活字との出合いは、中学1年生の時。当時左利きだった私は、いつも先生から「字が下手!」と注意を受けていた。中高一貫の女子校に入学して間もなく、1人で校舎を隅から隅まで探索していて、和文タイプ室と書かれた部屋を見つけた。ガシャン、ガシャンと大きな音が響いていた。
「この機械を使えるようになれば、下手な字を注意されなくてすむ!」と、早速顧問の先生に無理やりお願いして、高校生の部活に入部させてもらった。それからの6年間、和文タイプの前に座り、やがて教員資格も取った。
時代が変わってタイプからワープロになり、そしてパソコンへ。一字一字探していた和文タイプのことを思うと夢の機械である。プラテンを回して引いた罫線(けいせん)も簡単に引くことができ、練り消しゴムで消した誤字もすぐに直すことができる。どこでも持ち運びができ、送信したり、印刷したりもできる。67歳のおばあちゃんにとって、こんなすてきな道具はない。
手紙、家計簿、日記、漢字を調べる、絵を描く、図書館の本の予約、全国のおいしいお菓子のお取り寄せ−−みんなパソコンでできる。机の上に一台あれば一日中楽しんでいられる。目も疲れないし、肩もこらない。
夫は「本当に好きなんだねえ」とあきれ顔。情報処理の教師である夫の指導は受けない。説明が丁寧すぎ、まどろっこしくてケンカになってしまうからだ。
女の気持ち:パソコン 毎日新聞 20130717
私のおもちゃはパソコン。一日中動かしていても飽きない。
思えば活字との出合いは、中学1年生の時。当時左利きだった私は、いつも先生から「字が下手!」と注意を受けていた。中高一貫の女子校に入学して間もなく、1人で校舎を隅から隅まで探索していて、和文タイプ室と書かれた部屋を見つけた。ガシャン、ガシャンと大きな音が響いていた。
「この機械を使えるようになれば、下手な字を注意されなくてすむ!」と、早速顧問の先生に無理やりお願いして、高校生の部活に入部させてもらった。それからの6年間、和文タイプの前に座り、やがて教員資格も取った。
時代が変わってタイプからワープロになり、そしてパソコンへ。一字一字探していた和文タイプのことを思うと夢の機械である。プラテンを回して引いた罫線(けいせん)も簡単に引くことができ、練り消しゴムで消した誤字もすぐに直すことができる。どこでも持ち運びができ、送信したり、印刷したりもできる。67歳のおばあちゃんにとって、こんなすてきな道具はない。
手紙、家計簿、日記、漢字を調べる、絵を描く、図書館の本の予約、全国のおいしいお菓子のお取り寄せ−−みんなパソコンでできる。机の上に一台あれば一日中楽しんでいられる。目も疲れないし、肩もこらない。
夫は「本当に好きなんだねえ」とあきれ顔。情報処理の教師である夫の指導は受けない。説明が丁寧すぎ、まどろっこしくてケンカになってしまうからだ。