茨城新聞 茨城春秋
2019040
今年は12年に1度の「亥(い)年選挙」の年である。4年ごとの統一地方選と、3年ごとに行われる夏の参院選が重なる選挙イヤー。だが、投開票の終わった統一選前半戦をみると、低投票率に依然歯止めがかからず、なり手不足も深刻さを増す一方のようだ▼そもそも統一選は憲法施行を控えた1947年、地方選挙への意識を高めようと全国一斉に行ったのが始まり。その後、長の辞任や議会の解散、合併などで任期満了の時期がずれ、地方選挙に占める統一率は近年30%を割り込む。「統一」の名折れという状況にある▼こんな折、きらりと光る取り組みを、美浦村議会に見た。8月の任期満了を待たずに自主解散、改選を前倒しして、統一選の村長選と同じ日程で実施することにしたのだ▼定数も2削減し、文字通り「身を切る改革」で後半戦の告示を迎える。小さな村の大きな決断である▼前回の村議選が初めて無投票となったことに危機感を抱き、直後から議会改革について協議を重ねてきた。近年低調な投票率のアップと約350万円の選挙経費削減を見込むという▼有権者との距離をどう縮め、住民自治の担い手を育てていくのか。人口減少と少子高齢化に向き合う、地方政治に課せられた宿題である。