孫に弟子入り
毎日新聞 20210519
シングルマザーの娘からSOSの電話。4歳の孫がコロナで思うように外に出られず、ストレスいっぱいで家の中で騒いでいるという。そこで、孫と2人で近くの都立公園に出かけることにした。
広い公園で孫は走り回った。両手を水平に広げて飛行機になったり、正義のヒーローになったり。孫の世界は縦横無尽だ。
そうだ。私も孫の第1の弟子となろうと思い立った。動作をまねて飛行機になったり、立ち止まってしゃがんだり。すると、孫はさらにパワーアップ。おなかの底から声を上げた。
そのとき、不意に思い出した。フルタイムで3人の子育てと家事に追われていた若いころを。「ちょっと待って。これが済んだらやるから」を何度繰り返しただろう。
未熟な私を無条件に受け入れ、慕ってくれる子どもたちは私の強い味方で、かけがえのない宝物だけれど、自分の時間も無性に欲しかったあのころ。子育てが終わって余裕のある今、子どもの目線の近くまでいき、子どもの行動にはそれなりの訳があると実感した。
孫を追いかけたこの日、私のスマホの歩数計は1万5000歩に達した。道理で足が筋肉痛だ。