毎日新聞20160324
53年ぶりの恋文
脳梗塞(こうそく)を発症し、たった11日の入院で天国へ旅立ったあなた。来る日も来る日もあなたのことを思い、涙を流していましたら、あっという間に1年がたちました。
そちらの世界はいかがですか?
食べることが大好きだったあなた、おいしくのどを通るようになっていますか? 歌が大好きだったあなた、旅立ちの時、持参した歌集を見ながら歌っていますか?
ジャケットがよく似合い、おしゃれをするのが大好きだったあなた、帽子をかぶってさっそうと歩けていますか?
歩くのが遅くなったのは年のせい、トイレが近くなったのも年のせいと病院行きを勧めても行かず、いきなり遠い国へ行ってしまい、残念でなりません。
私より元気で結婚以来50年と数カ月、風邪を引いた記憶のないあなたと、あんなにあっけなくお別れするなんて思ってもなく、いまだに受け入れることができません。
今年は、2人で楽しみにしていた孫の大学受験でした。約束していた大学と難関国立大学へ合格できました。
先日の一周忌法要の席で、あなたがいればどんなに喜んだことかとみなで話しましたが、もうご存じですよね。応援してくださったので合格できたと思っています。
いつも、もう一度会いたいと思っていますが、まだお迎えに来ないでくださいね。お土産話をたくさん作っておきます。
今でもあなたが大好きです。